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【GIGAスクール構想とは】先生・教育関係者の現場視点で考えるGIGAスクール構想の今とこれから | ClassPad.net

  ICT教育・GIGAスクール構想関連コラム

【GIGAスクール構想とは】
先生・教育関係者の現場視点で考えるGIGAスクール構想の今とこれから

文部科学省が提唱するGIGAスクール構想は、全国義務教育の小中学生を中心に1人1台、パソコンやタブレットなどの端末を提供する取り組みで、2019年(令和元年)に発表されました。
教育の現場に携わっていらっしゃる方であれば、「GIGAスクール構想」という言葉は良く耳にするはずですし、その概念は多くの方がすでにご存知でしょう。しかし、その推進状況や、そもそもの目的についてなど意外と知らないことも多いかと思います。そこで本コラムでは、現場の先生方がどのように対応したら良いのかを含め、改めてGIGAスクール構想についてご紹介します。

GIGAスクール構想の概要

「GIGA」とは「Global and Innovation Gateway for All(全ての児童・生徒のための世界につながる革新的な入り口)」の略語です。「1人1台端末環境の実現」という言葉が注目されがちですが、GIGAの意味を改めて考えると、端末整備はあくまでも手段であり、GIGAスクール構想の目的ではないことがわかります。

●GIGAスクール構想の目指すものとは

文部科学省では、GIGAスクール構想の目的を以下のように紹介しています。

・1人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備することで、特別な支援を必要とする子供を含め、多様な子供たちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化され、資質・能力が一層確実に育成できる教育ICT環境を実現する。

・これまでの我が国の教育実践と最先端のICTのベストミックスを図ることにより、教師・児童生徒の力を最大限に引き出す。

教育現場へのICTの活用により、下の図のような主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善を目指しています。

GIGAスクール構想の状況

このような理念を掲げるGIGAスクール構想ですが、その土台となるのはやはり「1人1台端末」です。では、その環境整備の推進状況はどのようになっているのでしょうか。

●義務教育での整備状況

小中学校での整備状況を見てみると、令和3年の10月の段階で、全ての児童生徒が学習者用端末を活用できる環境の整備が整っている自治体は全体の96.2%。学習者用端末1台当たりの児童生徒数は1.0人となっています。
当初の計画では、2023年度までに1人1台の端末機を全員に配布する計画でしたが、新型コロナウイルスの蔓延により、急遽計画が前倒しされました。学校が閉鎖され、オンライン授業を家庭で視聴する必要に迫られたからです。コロナ禍という動機ではありましたが、その結果、義務教育段階では「1人1台端末」がほぼ実現したと言える状況です。

参照:端末利活用状況等の実態調査 (令和3年7月末時点) (確定値)

ICT教育とは

●公立高校での整備状況

一方で公立高校に目を向けると、まだまだ導入が進んでいない地域も多く、かつ保護者負担での端末導入となっている場合も一定割合あることがわかります。

●端末の持ち帰りに対する考え方

GIGAスクール構想において、現場の先生にとって大きな問題は、1人1台の端末の管理ではないでしょうか。紛失や破損、盗難のリスクがありますから、持ち帰らせず、放課後は鍵のかかったボックスで厳重に管理している学校も多いことでしょう。事実、家庭に持ち帰らせることを許可している学校は1/4程度に留まっています。一方で、持ち帰りを許可した方が、児童・生徒が積極的にICTを活用するようになる、という側面もあります。
GIGAスクール構想において、1人1台の端末を持たせ、それを管理することばかりに目が言ってしまうのは良くないでしょう。教育の本質は「学ぶことの楽しさや価値の発見」であるとも言えます。子どもたちが自ら考え、ICTを活用する機会は、むしろ授業外の方が重要であることもあります。もちろん、持ち帰らせるかどうかのルールは各都道府県や教育委員会レベルでのものですので、1人の教員の裁量で決めることできませんが、過度に管理せず、ルールの中で自由に扱わせる勇気を持つことも、現場の先生には必要なことではないでしょうか。

GIGAスクール構想の効果

ここからは、GIGAスクール構想によって得られる効果について考えてみましょう。

●児童・生徒の視点での効果

ICT教育が行われる以前の授業は、先生が大勢の生徒に対して伝達し、生徒はそれを受ける、という構造でした。もちろん生徒からの発言や生徒同士のディスカッションもありましたが、それでも、手を上げて自発的に発言する生徒は限られていました。

ICT教育の推移状況

GIGAスクール構想によって行われるICT教育では、1人1台の端末がオンラインで繋がっていることにより、例えば、全員の回答や考えをクラス全員で共有し、優秀な考えや興味深い視点をピックアップして紹介する、というようなこともできるようになります。手を上げて発言する勇気がなかった生徒の秘めた能力やユニークさが、自然な形で表に出てきます。そのことにより、引っ込み思案だった生徒も自分の考えに自信が持てるようになり、学習や授業が面白い、と感じる体験をすることができます。

小テストを行う場合でも、紙に書いた回答を集め、先生が採点し後日配る。という方式がICT教育ではアイデア次第でガラッと様子が変わります。例え同じ問題だったとしても、タブレット端末の画面上でクイズのように次々と出される問いに回答していき、その結果がリアルタイムで集計され、上位10人のニックネームが発表される、というような全員で行う参加型のゲームのような形式を取るだけで、一気に盛り上がったり、学習のモチベーション向上に繋がったり、授業に能動的に参加する雰囲気作りになったりするなど、可能性が広がります。

ICT教育の推移状況

授業中にわからない言葉が出てきた時や、授業の内容に派生して興味が出てきたことなどをすぐにインターネットで調べられることで、「楽しみながら自ら学ぶ」姿勢を育むこともできるでしょう。

●先生の視点での効果

GIGAスクール構想、ICT教育は、児童・生徒のためだけに推進されている訳ではありません。文部科学省では、教員の校務の負担軽減と効率化についても狙いを持っています。

児童・生徒の視点で取り上げたゲーム形式の小テストも、リアルタイムで結果が出るということは、先生の採点の手間が無くなる、ということでもあります。板書ではなく、事前に用意した資料をクラス全員の端末に送信することで、板書をする時間をより丁寧に説明する時間に割いたり、違うクラスで行う同様の授業の際に、同じ資料を活用して効率的に行ったりすることもできます。

ICT教育の推移状況

学級通信などのお知らせも、印刷して配布するのではなく、PDFにして特定のドライブにアップする運用とするなど、業務負担の軽減に繋がるような活用の仕方は多々考えられます。
また、生徒1人1人に向き合いやすくなることも、先生にとってのメリットになります。算数や数学は特に、一度つまずくとその先のことについていけなくなってしまう教科ですが、生徒がどこでつまずいてしまったかを把握しやすくなったり、見えていなかった生徒の才能を発見できたりします。
もしかしたら、学業以外でも何か悩みを抱えているかもしれないと感じた児童・生徒に対して、個別にメッセージを送ることによって、その悩みを打ち明けてもらいやすくなったりと、先生と児童・生徒が1対1でも繋がることによっての様々な効果が期待できます。

GIGAスクール構想に対する現場の先生の意識

児童・生徒、教員双方に多くのメリットがあるICT教育ですが、1人1台端末があっても、どう活用していったら良いか、現場の先生としては困ってしまう方も多いのではないでしょうか。
GIGAスクール構想の一番の問題は、学校間の格差です。機器などの整備上の問題もありますが、一番は教育委員会や先生方の意識の差です。進んでいる自治体では、学校に講師を派遣したり、企業と連携して先進的な取り組みを行ったりしています。

●外部組織と連携したICT教育

ある自治体傘下の小学校では、IT企業とコラボレーションし、高学年生が自分たちで行ったプログラミングをインターンネットでオーストラリアへ送り、現地の機器を動かすという授業を行っていました。

大学などではよく産学共同プロジェクトが行われますが、義務教育や高等教育においても、企業と連携して、「生きたICT」を学び、感じることは、学習の楽しさの発見に繋がることでしょう。授業にどのようにICTを取り入れるか、先生お一人で悩むのではなく、積極的に外部の組織や企業と関係を持っていくことも大事な視点です。

ICT教育の推移状況

●考えるきっかけになるICT教育

ある小学校では低学年生のプログラミングの授業で、先生と生徒が簡単なゲームを行いました。何度やっても生徒は先生に勝てません。そこで先生が、点数を1万倍にする方法を伝授したところ、当然ながら大差をつけて生徒が圧勝しました。1人の生徒が「でも、なんだかつまらない」とつぶやいた言葉を、先生は聞き逃さず、そこから、「なぜつまらないと感じたのか」を考える授業に発展しました。

また、ある女子中学校では、「イスラム教の女の子をおもてなしする」課題に取り組みました。ハラール認証の食材や調味料をインターネットで調べ、それらを使って献立を考えました。「おもてなし」からイスラム教に対する理解、日本との文化の違いなどに発展しました。
こういった取り組みは、単にICTを授業にどう活用するか、の枠を飛び越え、社会で必要な考える力、調べる力を養っているように思えます。そういった意味でもICTは教育の可能性を広げてくれる力を秘めています。

ICT教育の推移状況

GIGAスクール構想の今後

一方で関心のない学校にとって、GIGAスクール構想が重荷に感じてしまっているケースも見られます。人間は自分からやりたいと思った事は積極的になるものですが、そうでないことには抵抗を感じてしまいます。GIGAスクール構想は国が主体となって行った施策だけに、日々の業務に追われるなか、なかなか積極的に取り組む時間が確保できない先生方もいるようです。しかしそれは決して先生たちの落ち度や責任ではありません。

GIGAスクール構想の推進によって、少なくとも義務教育過程では、1人1台端末環境が整備されましたが、ここからがスタートです。多くの校務や児童・生徒と向き合う大変な仕事の中で、いかに現場の先生たちがICT教育の活用を推進していけるようにできるかが今後の課題となるでしょう。
本コラムシリーズでは、今後、現場の先生たちがICT教育を授業や学習に活用していくために、有益な情報をお届けしていきたいと思います。

ICT教育の推移状況

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■著者・監修者
柿崎 明子
教育ライター。長期にわたり教育現場を取材。朝日新聞出版の週刊誌「AERA」、朝日新聞の教育サイト「EDUA」、東洋経済新報社の「週刊東洋経済」などに教育記事を多数執筆。

著者・監修者 柿崎明子

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