知識の蓄積が生徒の自信と安心に繋がり
英作文・スピーチの質が向上!
〜日本の伝統的なイベントを英語で発表し合う授業〜
信州大学教育学部附属長野中学校
〈 長野県 〉
齊藤 優 先生
教科:英語 指導学年:1年生
生徒数
3学年合計すると現在全校生徒は603名です。40名ほどのクラスが一学年5クラスあります。
教育目標
ともに学び 一人となる
ICT教育の課題・テーマ
情報活用の実践力
情報の科学的な理解
情報社会に参画する態度
本校では、ICT活用に上記三つの観点で取り組んでいます。
一つ目の「情報活用の実践力」は、課題や目的に応じて情報手段を適切に活用することを含め、必要な情報を主体的に収集、判断、表現、処理、創造して、受け手の状況などを踏まえて発信・伝達できる能力です。
二つ目の「情報の科学的な理解」は、情報活用の基礎となる情報手段の特性を理解すること。そして情報を適切に扱ったり、自らの情報活用を評価・改善したりするための基礎的な理論や方法を理解することです。
三つ目の「情報社会に参画する態度」は、社会生活の中で情報技術が果たしている役割、あるいは及ぼしている影響を理解し、情報モラルの必要性や情報に対する責任について考え、望ましい情報社会の創造に参画しようとする態度です。
これらを養うべく、日々の教育活動に取り組んでいます。
端末整備状況
令和2年にまずは3年生から、そこから順次導入され、令和3年からは全校生徒が使える状態でスタートしています。BYAD(Bring Your Assigned Device)形式で導入させていただき、1人1台Chromebookをを使用しています。
ClassPad.net導入に至った経緯と理由
ClassPad.netは、信州大学教育学部の森下孟准教授からご紹介いただきました。ちょうど当時使用していた教育アプリの見直しを検討していた時期でもありましたので、英語科から活用し始めました。
カシオの強みでもあると思いますが、英語科の職員からは「辞書機能が非常に充実していて、非常にありがたい。」という声が挙がっています。
授業の流れとClassPad.netの活用方法
「紅葉狩り」や「七夕」など、自分が伝えたい日本の伝統的なイベントについての発表内容を構想する。
構想を基にClassPad.netでお互いの発表を記録し合う。
記録した音声を聴き、発表の中で使用している単語を抽出し、ClassPad.netのオンライン辞書機能で単語帳を作成する。単語帳作成を通して、自分が使えるようになった単語とその単語をどのように活用できるようになったのかを振り返る。
自分が伝えたい内容を発表するために収集した画像やふせん機能に記載したテキスト、記録した映像、振り返りで整理した単語などをデジタルノートにまとめる。
デジタル社会におけるネット検索の弊害や上手な付き合い方とは
一般的な知識に関しては調べれば何でもすぐに分かる時代です。その反面、出てきた情報を鵜呑みにするのが本当に良いのかは授業の中で常に生徒に問いたいと思っています。例えば英語の授業では、「インターネットの翻訳で調べた単語は絶対に合っている」と生徒たちは思い込み、コミュニケーションの場面で使いますが、通じないことがあります。そこで「どうしてなんだろう?」と疑問を持てると、より良い情報活用能力が培われると思っています。
導入前と導入後の変化
生徒たちが喜んでオンライン辞書機能を活用し、英語の理解が遅い生徒でも目を見張るようなアウトプットを出すようになりました。
授業をしていると、クラスの中でじっくりと時間をかけて理解したい生徒も一定数います。その生徒たちがオンライン辞書機能に触れた時に、ぱっと表情が明るくなったことが非常に印象的で覚えています。生徒たちはオンライン辞書機能に自分の調べた単語を入れておくことで、安心して学習できるのだと思います。
本授業の発表でも、「よくここまでできたな」と驚くような内容を話していました。ClassPad.netのオンライン辞書機能を使って自分で書き溜めた知識をアウトプットしたのだと思います。英語科として目指したい生徒の姿を見られたように思えました。
すごくできる、賢いと言われる生徒もいますし、ゆっくり自分のペースを大事にして学習していく生徒もいます。
特に英語科は3年間を通したトータルで見ているので、教師としては3年間かけてできるようになれば良いというスタンスで臨んでいます。ただ、クラスで一緒に授業を進めていくと、できるできないがはっきりしてしまう教科でもあります。そういったところに難しさを感じる生徒がいるのは事実ですが、ClassPad.netによってそれが少し解消されたように感じます。1年生の段階でそういった効果が表れたことは、生徒たちの今後の学習への取り組みに良い影響があると思います。
生徒の保護者さんの声や評価
本校は授業公開を行なっており、生徒たちが積極的にICTツールを用いて学習している姿を保護者の方にご覧いただいていますので、ICTを使って授業することの効果を保護者の方にはご理解いただけていると思います。
お気に入りの機能・使い方
オンライン辞書機能により、インターネットでの翻訳から脱却することができました。
一番良いと思う機能はやはりオンライン辞書機能です。生徒たちは、インターネットでの翻訳から脱却するにはどうしたらよいだろうと苦労していました。そんな時、ClassPad.netのオンライン辞書機能を生徒たちに紹介したところ非常に喜び、「4月の最初の単元からこれがあったら良かった」という声が挙がったほどでした。
インターネットの翻訳が全くだめという訳ではないのですが、インターネットの翻訳機能や辞書で調べた単語の正しい意味は何だったのかをClassPad.netのオンライン辞書機能で振り返ることができるのは非常に良いと思います。
また、オンライン辞書機能の中でも、発音が確認できることが特に良いと思っています。ClassPad.netでは例文の中の単語や表現について、発音でも分かるところが優れています。生徒たちはアウトプットとしてスピーキングすることが多いので、ClassPad.netで発音が確認できることは非常に有益です。
ClassPad.netを使用した今後取り組みたい授業
自分がどういったことを学んできたのかを振り返り、単語を通して考えられることがClassPad.netの優れている点だと思います。まとまった単元をClassPad.netで振り返った時に、自分はどのような単語をこれまで習得してきたかが見える。1単元だけでなく2単元3単元を中長期的に振り返る際に生徒たちが得る気づきに繋がるのではないかと思います。
生徒に聞いた、ClassPad.netの「良いところ」
英語の授業で文章を構成する際、以前は分からないことがあった時にインターネットの翻訳機能を使っていましたが、ClassPad.netのオンライン辞書機能を使うことで、素早く正確な情報を調べられるようになり、より速く文を構成できるようになりました。
さらに、ClassPad.netを活用して主体的に調べ学習をすることによって、情報収集能力が高まったと感じます。情報収集能力は今後の社会で最も問われる能力だと思いますので、その力を培い、就職や様々な研究などに役立てたいです。
また、英語では発音も大切です。ClassPad.netで音声を録音し、単語帳にまとめて確認することで、不安な自分の発音が客観的に分かり、改善できるのが良いと思います。