
【開催報告】ClassPad.net × 東京学芸大学
高校探究プロジェクトとの共創ワークショップ 第2回
「探究や学びのプロセスを記録として残すツールとは?
~振り返り、次の学びに活かすために~」

東京学芸大学「高校探究プロジェクト」との2回目の共創ワークショップは、2024年12月22日に開催された「探究の共創in Winter 2024」の分科会として行われました。
「探究の共創in Winter 2024」は、全国から高校生、教員、企業などが集まり、午前中は高校生による自身の探究活動のポスターセッション、午後は分科会形式で、探究活動の経過を共有したり、探究活動についてどう感じているかを共有する目的で行われました。
本分科会では、1回目のワークショップで西村先生よりお話があった内容を基に「振り返り」をキーワードに実施しました。
1回目の西村先生のお話については【開催報告】ClassPad.net × 東京学芸大学 高校探究プロジェクトとの共創ワークショップ 第1回 をご覧ください。

カシオ計算機はClassPad.netを総合的な探究の時間や、各教科の探究的な学習のツールとして活用いただくべく、東京学芸大学が取り組んでいる「高校探究プロジェクト」に参画しています。
東京学芸大学 高校探究プロジェクト

【西村圭一教授 プロフィール】
東京学芸大学大学院教育学研究科教授。東京都立高校を始めとした学校の教諭、国立教育政策研究所 総括研究官、東京学芸大学教育学部教授などを経て、2019年から現職に就く。東京学芸大学「高校探究プロジェクト」のリーダー、日本科学教育学会副会長、日本数学教育学会業務執行理事、数学教育編集部長、日本教科教育学会全国理事、等を兼任。
東京学芸大学 大学院 数学科教育学分野 西村圭一研究室
参考:ニュースリリース(2024年6月18日)
デジタルノートを搭載したオールインワンのICT学習アプリ“ClassPad.net”を活用 探究学習をテーマに東京学芸大学の「高校探究プロジェクト」と共創 ※
※探究学習・・・「国語や数学などの各教科における探究的な学び」及び『「総合的な探究の時間」の教科で行う学習』
目次
・ワークショップ当日の流れ
・デジタルとアナログ:使い分けているつもりが、実はぐちゃぐちゃに・・・
・学習の「前」と「後」の間:自分の成長はどのように起きたか
・学びのプロセスを記録するツールとは?ClassPad.netを使った感想と、理想の姿についてアイディア出し
・希望する先生・生徒さんにClassPad.netを提供:教育現場への更なる貢献を目指して
・次回ワークショップ予告
高校生6名、教師・その他13名にお集まりいただき、高校生グループと教師・その他グループの2グループに分かれて、現状の課題を共有し意見交換をしました。
分科会の流れ
1. 目線合わせ
2. グループワーク①:探究活動において、「何をしたか」と「何を考えたか」をどのように記録していますか?させていますか?
3. グループワーク②:振り返りをするとき、どんな課題(困りごと)がありますか?
4. まとめ

目線合わせ:大事なのは探究の「プロセス」を残すこと
プロセスを振り返り、納得して成長を語れることで次の学びに活きる
まず最初に、カシオ計算機から目線合わせとして、東京学芸大学「高校探究プロジェクト」とのテーマである「探究や学びのプロセス」についてお話しました。
【目線合わせの概要】
●探究とは新しいアイデアの創出、コンテストの優勝など「成果」ではなく、探究の「プロセス」そのものを示す
●プロセスとは、探究する「前」・「中」・「後」に分けた一連の流れや考え方のことを指す
前=探究する前の自分の意見・考え・予想
中=探究活動で何をし、何に気付き、何を学んだか
後=探究をした結果、どう自分の考え・意見が変わったか、確信に変わったか
● プロセスの振り返りをすることで・・・
⇒軌道修正しながら、探究活動に取り組んでいける
⇒成長につなげる、次の学びに活かす
●振り返りに必要な手がかりは「プロセス・過程の記録」
⇒何をしたか(Doing)と何を考えたか(Thinking)の前・中・後(プロセス)を記録として残すことが重要
探究活動の記録はデジタルツールが主流
続いて、高校生グループ、教師グループに分かれ、探究活動で「何をしたか」、「何を考えたか」をどのように記録しているかグループ内で共有していただきました。
<高校生グループ>
●活動の記録用、提出用、自分の振り返り用などでツールを使い分けている
●自分のアイディアや思いつきは日記帳アプリに書き込んでいる
●授業での振り返りはアンケートツールで回答するが、提出してしまうと自分で見返せない
<教師グループ>
●アンケートツールで振り返りを書かせて提出させている
●短期目標と成果、次の目標とさらに最終的な目標をセットでまとめて提出させている
●振り返りのために、最も大切だと思ったことは何か?、なぜそう思ったか?など質問形式で用意して、書かせている
探究的な学びにおいては、デジタルツールを活用し、記録をとっている高校生がほとんどでした。学校によっては日記をつけることを習慣としている学校もあり、授業だけでなく部活動での活動や振り返りなど、記録をとることは多いようでした。
教師グループからも、デジタルツールを使って振り返りを収集していることや、深い振り返りのために質問の仕方を工夫する、多面的な投げかけによって振り返らせるといった意見が共有されました。

振り返りの質を向上させるためのアプローチ方法
最後に、振り返りをするとき、どんな課題(困りごと)があるか共有していただきました。
<高校生グループ>
●生徒同士で振り返りを共有することで、視野を広げ、批判的な思考を育てたい
●振り返りは文章で求められることが多いが、図や写真を使っても良いのではないかと感じている
●学校での振り返りは短時間で書いて送信するため、内容を覚えていないことが多い。先生からの質問に答えるだけで、実際には深い振り返りができていないと感じる
<教師グループ>
●毎週、何をしたか、何を調べたか、何を考えたかを書かせているが、ただ書くだけになってしまい、振り返りになっていないのではないかと懸念している
●文章が苦手な子でも振り返りができると思うが、振り返りが文章で行われるため、結局は文章力が評価されるのではないかと懸念している
●振り返りを通じて生徒をサポートしたいが、生徒が周囲に気を使って表面的なことしか書かないこともある。一方で、一人ひとりを十分にサポートする時間がないのが現状
高校生と教師は別々でグループワークをしたのにも関わらず、同じ視点でまるで答え合わせかのような内容もあり大変興味深い展開となりました。例えば、教師からは書かせていることが本当に振り返りになっているかの懸念の声があった一方で、高校生からは先生の質問に答えているだけで深い振り返りになっていないといった意見がありました。
振り返りの重要性を理解しつつも、実際にどのようにして振り返りをし、それをどんな指導・支援につなげていくか、教師のみなさんは悩まれている様子でした。
カシオ計算機はClassPad.netというオールインワンのICT学習アプリを提供しています。デジタルノートや授業支援機能を活用することで、探究活動における活動の記録やメモなどをデジタルな形で残すことができます。記録に残しておけて、遡れることはデジタルの強みです。それを、振り返りをするための“手がかり”として使うことで、より深い振り返りにつなげられるのではないかと考えています。
東京学芸大学附属高校AさんのClassPad.net活用状況
Aさんは、「形成条件から考える皿状構造の再現」という地学をテーマにした探究活動の中で、ClassPad.netを使ってくれています。実験中の写真を撮影して、写真を見返しながら、実験の進め方や、探究活動の方向性など、構想を練るときに使ってくれているそうです。
簡単に写真をアップし、その場で手書きやタイピングでメモをしたり、過去に収集した情報やデータなどを1つのデジタルノート上にまとめたりできるので、「これまでに何がわかり」、「今後は何をしていくべきか」方向性や構想を練りやすいと話してくれました。

まとめ
今回、高校生と教師の両方から、「振り返り」についての現状や課題を伺うことができました。高校生たちは、デジタルツールをうまく使って記録を残し、自分の活動が行き詰った時や、まとめをするときに振り返り、原点に戻ったり方向性を見出したりしているようでした。
今回、また、教師たちは、振り返りを実際にどのように指導や支援、学びに活かしていくか試行錯誤している様子でした。
デジタルツールで活動の様々な記録を残すことができ、振り返りもしやすくなった今、それを「次の学びに活かす」ために何ができるのか、何ができれば、教師・生徒のみなさんの支援になるか、さらに考えていきたいと思います。