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授業の効率と、生徒の取り組み状況の把握が大幅に改善
〜キルヒホッフの第2法則で複雑回路の式を立てる授業〜
高知県立高知東工業高等学校
〈高知県〉
山内 一希 先生
教科:その他 「電気回路」
校訓・教育目標
(規律) -節度ある生活態度をとろう
(勤勉) -進んで勉強し実力をつけよう
(健康) -安全で健康な毎日を送ろう
ICT教育の課題・テーマ
本校では、ICTを効果的に活用するため、個別最適化デジタルドリルや、ClassPad.netのような協働学習ツールを活用し、授業と授業外のシームレス化を図り、生徒の課題への主体的な取り組みや、自主学習の習慣の定着に向けて取り組んでいます。
端末整備状況
令和3年度に3学年、全生徒分のChromebookが県から配布され、生徒に貸与しています。
ClassPad.net導入に至った経緯と理由
令和6年度に高知県の全県立高等学校(分校含む)に、県の方針によるデジタル学習環境の強化、特にJamboardの代替として、ClassPad.netが導入されました。
本校では、協働学習を促進するデジタルノート機能に大きな期待を寄せるとともに、教員講習の実施など、導入後も活用を促す施策を推進し、双方向の学びと教育の質の向上に努めています。
授業の流れとClassPad.netの活用方法
キルヒホッフの法則の授業で、第2法則(電圧に関する法則)を用いた複雑な回路の電流を求めるための立式を、生徒が自力でできるようになることを目標に行った授業です。
この法則では、生徒が閉回路のたどる向きを仮定し、抵抗による電圧降下や起電力・電流の正負を自ら判断して式を立てる必要があります。この判断が生徒のつまずきやすいポイントとなります。
そこで、授業では、スライドで作成した回路図の資料をPDFで配布し、生徒が描画活動(書き込み)を行いながら学習を進める形式をとります。具体的には、スライドの1枚ごとに「どのポイントで何を考え、どのように符号や値を決めるのか」という思考の順序を段階的に示し、生徒はそれに従って答えを埋めていきます。
これにより、生徒は複雑な立式の手順を視覚的に順序だてて振り返り、最終的に自力で式を立てられるようになることを狙っています。
前時に学んだキルヒホッフの第1法則を用いて、教員が即興で作成した回路図を見ながら、ふせんに電流の式を立てる。
キルヒホッフの第1法則を用いた計算問題をプリントで解く。答えはPDFで配布し、各自答え合わせをしながら、前で教員がPDFに描画しながら解説をする。
キルヒホッフの第2法則(電圧則)を用いた計算問題に取り掛かるための準備段階として、簡単な計算問題から「仮定する」練習を、ふせん機能を使って行う。生徒から提出されたふせんを活用し、躓いている生徒に「仮定する」ヒントを与えるとともに、他の生徒が提出したふせんを参照し、問題に対する仮定をできるよう促す。
生徒が配布したスライド(PDF)に書き込み、閉回路Ⅰについて、キルヒホッフの第2法則を用いて式を立てる。
これまでの学びを活かし、閉回路Ⅱについて、キルヒホッフの第2法則を用いて式を立てる練習をする。最後に、生徒が書き込んだスライドを提出させる。
お気に入りの機能・使い方
PDFなどのファイルアップロード・配布・提出といった基本的な操作から、ふせんやノートへの手書き機能まで、一連の学習活動をスムーズに進めるためのあらゆる機能を統合している点が気に入っています。
特に優れた手書き機能は、私の授業での解説を大きく変えてくれました。プロジェクターで投影した画面上で、書く・消す・色を変えるといった操作が思いのままに行えるため、複雑な内容でも視覚的な解説が非常にスムーズになり、生徒の深い理解を促せます。生徒側も、この手書き機能を活用して自分に合った色でメモや注釈を自由に書き込むことで、主体的な学習を深め、内容の定着を図ることができています。
宿題や自宅学習でのClassPad.netの活用機会
順序立てた振り返りによる思い出しの効率化
ClassPad.netの「ふせん」の連結機能を利用することで、資料の整理と振り返りが大幅に効率化されます。
具体的には、ふせん同士を関連付けてつなぎ合わせられるため、過去の授業資料を新しい資料の前後や途中にシームレスに組み込むことができます。生徒は、スライドのように資料を切り替えながら閲覧し、手書きメモなどを追加できるため、内容を順序立てて体系的に振り返ることが可能です。
この機能により、特にテスト前の学習時、内容がわからなくなった際にも、ClassPad.netで必要な資料をいつでもすぐに確認でき、流れを追って効率よく学習を進められます。
導入前と導入後の変化
授業の効率と、生徒の取り組み状況の把握が大幅に改善
導入以前は、スライド資料を生徒のタブレットに配布するものの、直接書き込む機能がないため、重要な語句や説明をノートに写させるという、限定的なICT活用にとどまっていました。その結果、生徒間で書く速度に差が生じ、全員が書き終えるのを待つ必要があったり、生徒の取り組み内容を確認するにはノートを回収したりするなど、時間と作業の面で非効率が生じていました。
しかし、ClassPad.netを活用して資料を配布し、タブレット上で直接書き込めるようにしたことで状況は一変しました。特に、重要な用語や式などに書き込む内容を絞ったことで、板書を写す時間のばらつきが減少し、その分、演習問題などで生徒に深く考えさせる時間を確保できるようになりました。
また、手書き(入力)された資料を生徒からデジタルで提出させることで、生徒一人ひとりの取り組みや思考を即座に確認できるようになりました。提出データは生徒のタブレットにも残るため、復習や継続的な学習にも役立てられています。
ClassPad.netを使用した今後取り組みたい授業
静から動へ:手書き機能を活かしたプレゼン能力の向上
これまでの授業では、生徒は事前に作成したスライドにアニメーションやレーザーポインターを駆使し、「静的」な資料を分かりやすく見せる発表に慣れていました。しかし、その場で必要な情報を書き込みながら説明する「動的」なプレゼンテーションの経験は不足しています。
ClassPad.netの手書き機能とスタンプ機能は、この課題を解決します。生徒は、手書きで色や線の太さを変更したり、消しゴムで修正したりしながら、リアルタイムで情報を追加できます。さらにスタンプ機能を使えば、重要な箇所やチェックポイントを視覚的に強調し、理解を助けることができます。
今後は、生徒にこれらの機能を積極的に活用した発表をしてもらうことで、内容の理解度を高めるだけでなく、相手に的確に伝えるプレゼンテーション能力や、分かりやすく表現する力といった非認知能力を、専門教科の学びの中で総合的に身に付けさせていきたいと考えています。