
グループワーク×デジタルノートの共同編集で、
協働的な学びの授業デザインが可能に!
〜大統領選挙の結果からアメリカの問題を捉える授業〜

香川県立善通寺支援学校
〈香川県〉
宮﨑 真和 先生
教科:地理総合

校訓・学校の教育目的
「強く 明るく」
学校のICT教育の課題・テーマ
一人でも多くの教員や生徒が、iPadや電子黒板などのICT機器の扱いに慣れること。
端末整備状況
2020年度から、教育委員会から支給されたiPadを、学部ごとに共有しながら使用しています。
ClassPad.net導入に至った経緯と理由
当初、別のデジタルノート関係のサービスを導入していましたが、契約期間満了により使用できない状況でした。このサービスに近い機能も使用できるClassPad.netを紹介され、トライアル版を使用することになりました。

授業の流れとClassPad.netの活用方法
私の授業では、授業の最後にClassPad.netを通じて振り返りの提出を求めています。そのシートを授業の振り返りに使う生徒もいれば、日常に起こっている問題や時事問題についての質問を行う生徒もいます。2024年11月にトランプ氏が大統領に返り咲いて以降、生徒から「トランプ氏の発言の意図や背景について知りたい」という声が多く上がりました。そのため、地誌でアメリカ合衆国を扱う際に、トランプ氏の発言や国民の分断の背景について扱いたいと考えました。
そこで今回の授業では、アメリカ合衆国の内容の導入の授業として、トランプ氏が出馬した3回の大統領選挙(2016年、2020年、2024年)の投票結果を色分けし、どのような地域で共和党・民主党が支持を広げているのか、3つの選挙ともに勝った候補へ投票した地域はどこなのかを捉えることを目的としました。
また、その後の授業でアングロアメリカの農業や人種、工業について扱い、アメリカ大統領選挙の結果が人種や産業とどのように関係するかをまとめていき、アメリカ合衆国の国民の分断の問題を解決する方法を考えることを最終目標に設定しています。

まず、2016年以降のアメリカの大統領選挙を見ると、「すべて民主党が勝利」、「すべて共和党が勝利」、「共和党→民主党→共和党と、すべて大統領が選ばれた党が勝利」、「民主党→民主党→共和党が勝利」という4パターンしかないことが分かる。
それを踏まえて、生徒を2つの班に分け、グループワークで班ごとに調査する州を二つずつに分ける。そのうえで、四つのパターンの地域の分布を白地図上に塗り、そのなかでも特徴のある州の産業と人種について、班員同士協力して調べる。

赤…3回とも共和党が勝利 緑…共和党→民主党→共和党(すべて勝った側)

青…すべて民主党 黄色…民主党→民主党→共和党



それぞれの班の内容を整えて、四つのパターンにおいてそれぞれの地域でどのような特徴があるかを発表し、二つの班で調べた内容をドッキングする。その際、主な産業との関係に生徒が気付けるとその後の内容の理解を促すことになる。電子黒板などを用いて、必要な情報などを書き足すようにする。

Aグループ

Bグループ

その結果を踏まえて、アメリカの人種、産業、都市の特徴を捉える。特にアメリカの産業については、国際競争のための人材確保の観点でAI産業などが盛んな地域は民主党の地盤になっていること、五大湖周辺の「ラストベルト」の困窮と、そこから抜け出すために支持が選挙ごとに変化していることを押さえる。
その際、生徒が作った図を活用しつつ説明する。
※ラストベルト:「Rust Belt(錆びついた工業地帯)」の意。1920年代に鉄鋼業や自動車産業でアメリカ合衆国をけん引したが、現在はコスト競争で苦戦し、衰退していることから名付けられた。


お気に入りの機能・使い方

デジタルノートでのグループワーク機能(共同編集機能)です。
今回の授業では、グループワーク機能を用いて生徒同士でグループを作り学習を行いました。
グループごとに学習できることが大事であると考えています。

宿題や自宅学習でのClassPad.netの活用機会

本校は病弱児童生徒の特別支援学校であるため、授業に遅刻する生徒や、欠席する生徒もいます。そのような生徒に対し、以下のように活用しています。
・授業での振り返りシートの提出
・休んだ生徒用に授業内容を撮影したものを配信し、休んだ場合でも授業内容を自学自習できる仕組みを構築

導入前と導入後の【授業での変化】

電子黒板が導入されたこともあり、プリントへの書き込み方法などをレクチャーできるようになりました。
振り返りシートの記入や返却に時間がかかっていましたが、空いた時間にシートをチェックし、返却できるようになりました。

ClassPad.netを使用した今後取り組みたい授業

現在は担当教科である公共・歴史総合・地理総合を中心に使用していますが、自立活動の授業やクラス運営などの幅広い場面で使用したいと考えています。