描画活動を介して冠詞の本質を掴む英語の授業
授業支援機能を活用し、生徒の解答を用いた解説で深い理解を実現
京都女子中学校・高等学校
〈京都府〉
東郷 秀朋 先生
教科:英語 指導学年:高校二年生
校訓
自立・共生・感謝
「自立」は、自分一人で生きているという意味ではなく、また誰の世話にもならないというものでもありません。様々な人によって生かされているという状況と周りを見据えながら、的確に判断していこうとする、そういった意味を込めています。
「共生」は、様々な人の命によって自分自身が支えられて生きている、共に生きているということです。人の命、そして自分の命も大事にすること。命は繋がっているんだということ。そこで共に生きるという「共生」が、二番目の校訓です。
「感謝」は、自分自身が様々な物や人によって生かされているという「感謝」の思いと、その思いを持って行動し社会に貢献できるような人間になって欲しいという意味が込められています。
「自立・共生・感謝」は建学の精神に基づいています。建学の精神の根底には、親鸞聖人の教えがあり、その教えを具現化したのがこの校訓です。
教育目標
教育目標は三つあります。一つめは、豊かな心と高い教養を身に付け、様々な課題に意欲的に取り組み、自ら解決できる自立した生徒を育成すること。二つめは、基本的生活習慣を身に付け、自主活動に積極的に参加するとともに、自他の命を尊重し、他者と協働できる生徒を育成すること。三つめは、一人一人の進路に適した学力を身に付けるとともに、自己の進路を切り開き、感謝の思いで社会に貢献できる生徒を育成することです。
ICT教育の課題・テーマ
全教職員が効果的にICTツールを活用し、それを生徒の教育活動の充実および発展に資することをテーマに、担当部署を中心に講習会や研修を継続的に行ってきました。しかし旧来型の一方向型の授業のスタイルからどうしても脱却できないと、日々悩んでいる生徒もいることが課題でもあります。
端末整備状況
2021年度4月に中学生全員にChromebookを貸与しました。2022年度より高校一年生から年次進行で貸与しており、2024年度には全校生徒が1人1台端末を所有する状態になっています。
ClassPad.net導入に至った経緯と理由
オンライン辞書機能の活用による探究の授業への寄与と
旧来の講義型授業から、双方型授業転換への期待感
Chromebookの導入後、授業のみならず、文化祭や生徒会活動行事、さらには部活動等の学校生活全般においてもその活用の場が広がりました。そのような状況の中で、さらにその活用を広げるためにClassPad.netの導入を検討しました。
ClassPad.netでは百科事典も利用でき、とりわけ2022年度より開始した探究の授業にも寄与できると考えているところです。また授業支援機能を利用することで、旧来の講義型授業から、双方型授業への転換を図れる可能性があると考えました。導入については、他社の四つのサービスを比較検討し、校内プレゼンを行い、無料トライアルを経て最終的に教員投票の結果をふまえて導入しました。
授業の流れとClassPad.netの活用方法
期末考査において「a」や「the」の冠詞の間違いが散見されたことを受け、改めてその重要性と存在意義を認識・理解してもらうために行ったアクティブラーニングの授業です。教師からの口頭での説明ではなく、自ら描画活動を行うことで、視覚情報も含め、冠詞の本質的なイメージを定着させることを狙っています。
ClassPad.netであらかじめ用意した冠詞の説明スライドを解説する。
ふせん機能を活用して事前に作成した、授業で使うシートのフォーマットを生徒に配信。
シートは4分割されており、4つの英文が書かれている。冠詞に注意しながら、英文を正確に表す絵を描く。
●Last night, I ate a chicken in the backyard.
●tea with lemon
●There were cats all over the street.
●There was cat all over the street.
描けた生徒からClassPad.netで提出BOXに提出。
提出された解答をプロジェクターに写してクラスで共有。
描き方の異なる複数の解答を紹介し、比較しながらその違いや正解/不正解の予想について、生徒同士が話し合った後に、教師が解説する。
冠詞を正確に表現することを意識し、英文和訳の演習をし、同様に提出BOXに提出。
解答の解説をしながら、ポイントとなる冠詞部分については、生徒同士が話し合う場も設ける。
デジタル社会におけるネット検索の弊害や上手な付き合い方とは
現在本校の生徒たちは1人1台端末を持っておりますので、気軽にいつでもインターネットで検索することができますし、現に何でもインターネットで検索しています。ただ、ご存知の通り、正しい情報か否かというところの取捨選択ないしは信頼性をしっかりと見極めていくことが必要だと思っています。
どこからの情報なのか、誰がそれを言っているのかを判別していく、その能力が必要だと思います。
宿題や自宅学習でのClassPad.netの活用機会
課題として、作文エッセイを出しており、提出にも使用しています。
導入前と導入後の【授業での変化】
共有が容易にできることが、ClassPad.netの一番のメリットだと思います。
自分のアイディア、意見、答え。そして友達、クラスメイトはどのような意見、答えを持っているのかということを容易にシェアでき、それらが生徒にとって良いお手本、教科書になっています。
もちろん生徒は、紙の教科書も持っており、そこには正しい英文もたくさん載っています。しかし生徒にとって教科書は義務感のあるものです。義務感があるものはなかなか自分の中に取り入れにくい。一方、友達やクラスメイトが書いた英文や内容はすごく親近感があって、より自分自身の勉強になり参考になります。その意味において、共有ができる、そして他の生徒のアイディアも自分に取り入れられるということで、たいへん教育効果が高いと思います。
導入前と導入後の【生徒の変化】
これまでの紙媒体でしたら、見せ合うことで一人や二人くらいの意見を参考にすることはできました。しかし、ClassPad.netなら、例えば1クラス30人いたら、残りの29人全員分の意見を参考にできます。それが大きな変化です。自分と異なるより多くの意見に出会える、そのチャンスを与えてくれていると思います。
お気に入りの機能・使い方
私にとっては、共有が簡単にできる、この点が非常にメリットが大きいと思っています。
ClassPad.netを使用した今後取り組みたい授業
今はClassPad.netを利用して、作文エッセイをたくさん書かせるようにしています。さらに、ある文章について自分でトピックを決めてサマライズ(要約)させるとか、それに関連したものについて書かせるということも頻繁に行っています。
その中で英語を学んだことをきちんとアウトプットする、アウトプットするだけではなく、それらを共有し、共有するのであれば周りからしっかりフィードバックを受ける。これを繰り返すことで、英語を「学ぶべきもの」から「学びたいもの」へと変容させていけたらと考えています。
生徒に聞いた、ClassPad.netの「良いところ」
デジタルノートを作成したりふせんに考えをまとめたものを提出して、みんなで共有できることが一番気に入っています。ClassPad.netがあることで、自分に無い意見を知ることができるのがすごく良いと思います。
休日や学校の無い日でもClassPad.netで課題がくることがあります。ClassPad.netがあることで、時間がある時や自分のやりたいに時に課題にとりかかれるので、助かっています。
ClassPad.netで教材などを送ってくださる先生がいて、帰りの電車の隙間時間などに見て、「今日はこんなことを教わったな」とパッと振り返ることができるのが良いと思います。課題をデジタルで提出することで、他の人の提出物を見られるのも良いです。自分が書いたことと全然違う意見を見るとすごく楽しくて、「こういうことを考える人もいるんだ」と思い、紙の教科書やノートなどで行う授業より意欲的に取り組める気がしています。
ClassPad.netを一番活用できるのは、英語だと思います。紙の辞書は作文を書く際に面倒ですが、デジタルの辞書であれば、早く調べられる。インターネットで調べるとその意味しか出てこないのですが、ClassPad.netのオンライン辞書を使えば、例文や意味の語源なども一気に見ることができて、そこが私の好きなところです。
さらにお気に入りなのは、辞書で調べた後に保存できる機能です。以前に調べた単語などをさかのぼって確認できるところが良いところだと思います。もう既に調べたことがあるのかを知ることができるので、「これは覚えていなかったんだな」と自分に言い聞かせることができます。