双六から読み解く近世と近代の学びの比較の授業
課題の提出と添削の紹介に授業支援機能を効果的に活用
常葉大学附属橘高等学校
〈静岡県〉
小澤祐太 先生
教科:日本史 指導学年:三年生
校訓
より高きを目指して ~Learning for Life~
サブタイトルに含まれる「ライフ」は、人生や生活の他に「幸せ」という意味ももたせています。
勉強を含め多岐にわたる学びを続けることは、生徒にとって幸せに繋がっていく。そのために、より高きを目指して学び続けてほしい、という想いを込めた校訓です。
学校の教育目的
「学力を伸ばす」「人間性を高める」
日々、職員が同じベクトルを持ちながら「伸ばす教育」を実践すべく教育活動を行っています。
ICT教育の課題・テーマ
ICTツールを活用し、生徒自らが答えを見つけ出していく
グローバル化が急速に進む先の見えづらい社会、そして世の中の価値観も非常に不透明な中、生徒たちが自らICTツールを使いながら「何が正解なのか」自分で答えを見つけ出していくことを意識的に、そして継続的に行っていくことが必要だと考えています。ICTツールが宝の持ち腐れにならないよう、どのような場面・ポイントで使っていくかを我々教員がしっかり把握しながら教育活動を行うよう心がけています。
端末整備状況
令和3年度の新入生から段階的にBYOD形式でiPadの導入を進めており、令和5年4月には、中学1年生から高校3年生まで全学年がiPadを持つ状態になります。
ClassPad.net導入に至った経緯と理由
一番は辞書機能の充実、そして教員がフル活用できる多彩な機能がオールインワンであること
本校は学校改革部・教育開発部を中心にICT教育の推進を行っており、様々なICT教育システム・ツールを検討するなかで、ClassPad.netの良さを知りました。現場の担当教員の意見も取り入れながら導入検討を進める中で、特に辞書機能が充実している点が注目を集めました。また、本校では全教員がフル活用できることを目指しており、意見集約や課題の配信、提出作業などを総合的に効率良く行えることを評価し、ClassPad.netの導入を決定しました。
授業の流れとClassPad.netの活用方法
前回の授業で生徒が提出した課題に対する添削データをClassPad.netでクラス全員が閲覧できる状態にしておき、お手本になるような生徒の解答をピックアップし紹介する。
グループワークの下準備として4人グループを作り、
●司会・タイムキーパーの役割
●資料を読む役割
●一番最初に意見を言う役割
●発表する役割
を決める。
【検証A】として、江戸時代と明治時代の2つの双六を実際にグループで遊びながら、両者を比較し「学びの違い」を読み解く。
【検証B】福澤諭吉の『学問のすすめ』から読み取れる社会の変化について、グループ内で意見をまとめる。
【検証A】と【検証B】について話し合った結果を代表者が発表し、解答について教師が解説する。
最後に、「近世から近代になり、社会や人々の意識はどのように変化したのか」についてや、授業を受けたことで「自分にとっての学ぶ意義をどう考えるか」について個人でまとめ、ClassPad.netで提出する。
デジタル社会におけるネット検索の弊害や上手な付き合い方とは
様々な情報が出てくる中で、情報を取捨選択あるいは吟味する力が重要だと考えています。また、生徒たちは自分で検索したいものばかりを検索してしまうため、難しい文章や読み応えのある文章に出会う機会が少なくなり、文章を精読することがなくなっていると感じています。多少難しい文章でも生徒たちに読ませ、レポートを書かせたりすることを意図的に行っています。
他教科でのClassPad.netの活用状況
美術でよく使っていると聞いています。出来た作品を提出してもらいそれを添削する使い方をしているようです。その他、生物でテスト直しとして活用している例も聞いております。
宿題や自宅学習でのClassPad.netの活用機会
地理総合でGISのデータを重ねた際に、それを提出する方法として、ClassPad.netを活用しました。
導入前と導入後の【授業での変化】
課題提出方法の幅が広がり、単元が不得意な生徒にフォーカスを当てられるようになりました。
提出方法であったり、意見交換であったり、共有する手段が増えたと思います。例えば、ClassPad.net導入前は、GISの課題はiPadで作ってもなかなか提出ができない、紙媒体に印刷するのも難しいので課題として出しにくいものでした。
導入後は、ClassPad.netで提出できるようになり、提出方法の幅が広がりました。それまで生徒たちが書いたものは、授業中では全部を見ることはできませんでしたが、ClassPad.netで写真に撮って送ってもらうことによって、社会が得意な生徒以外の生徒にもフォーカスを当てることができるようになりました。また、そのとき頑張ってくれた生徒の意見を聞くことができることなども大きな変化です。
導入前と導入後の【生徒の変化】
ClassPad.netを使おうとなると、生徒が結構やる気になってくれます。例えば、復習としての問題をClassPad.netで早押し大会のような形で出すことができます。ゲーム感覚を取り入れることで、生徒たちのモチベーションのアップにもつながっていると思います。
生徒や保護者さんの声や評価
本校のICTの活用として、保護者の方々に最も高評価をいただいたのは、やはりコロナ禍での休校期間中の対応だと思います。すぐにオンラインに切り替えて学びを継続しながら、多くの生徒数であっても感染拡大を防止できたことは、保護者の方々にも生徒たちにも評価が高かったと感じております。
お気に入りの機能・使い方
ClassPad.netで一番気に入っている機能は、提出機能と他のICTツールにはついていない添削機能です。生徒が提出してきたものに対して、それほど時間がかからずフィードバックできる点が良いところです。
ClassPad.netを使用した今後取り組みたい授業
グループワークや個人で行うアクティブラーニングなど、生徒主体で授業を進めていきたいと考えています。生徒がやってきたものに対してのフィードバック、あるいは他の生徒の違う考え方を共有するツールとして、ClassPad.netを活用していきたいと考えます。生徒の思考力、コミュニケーション能力、そういった力が伸びていくのではと期待しています。
生徒に聞いた、ClassPad.netの「良いところ」
ClassPad.netで、調べたいデータがすぐに出てきますので、紙の辞書を使わなくなりました。
また、出された課題をすぐに確認できたり、終わらせた宿題を提出できるところがClassPad.netの良い点だと思います。テストが返却された後、テスト直しを全員で取り組む作業がありますが、先生から宿題をClassPad.netで出してもらい、提出箱に提出、その提出箱を利用してテスト直しができることがすごく便利だと感じています。
私は英語が好きなので、外国語を使った職業に就けたら良いなと思っています。ClassPad.netのオンライン辞典機能を使って分からない英単語を調べることで、より知識を増やしていきたいです。
新型コロナウイルスで自粛期間が長引いたときにオンライン授業となりましたが、ClassPad.netの導入で自粛期間も時間を有効に使って勉強することができました。
授業内で出た課題を授業中に終わらせることができない、ということがあります。そんな時でもClassPad.netなら、家に帰ってその課題を終わらせて、家から提出できるのでとても良いと思います。
私はオンライン辞書機能がお気に入りです。紙の辞書は、学校に持って行くにはどうしても重たいと感じてしまいますが、ClassPad.netはそのような負担も無く、気軽に簡単に分からない単語をすぐに調べることができるので、一番のお気に入りです。