人生に活きる特別授業 Presented by CASIO
生徒がより楽しみながら積極的に参加する手法の一つとして、「いつもとは異なる先生による、いつもとは異なる授業」の可能性を感じ、企画・実施した特別授業をご紹介します。ClassPad.netパートナー校である東京立正高等学校にご協力いただき高校1年生イノベーションコースの特別授業として実施しました。
バイリンガル落語家 × 他校の国語教師による人生の授業
【特別授業の概要】
本授業では、生活や人生において最も重要なものの一つであるコミュニケーションをテーマとして、前半にバイリンガル落語家として活躍する琉水亭はなびさんをお招きし、公演とバイリンガル落語の演目をご披露いただきました。後半は、ClassPad.netパートナー校である浦和実業学園中学校・高等学校の田口純平先生にご協力いただき、琉水亭はなびさんの演目と関連付け、実際にClassPad.netを活用した言語コミュニケーションの授業を実施いただきました。
東京立正高等学校
〈東京都〉
高校1年生イノベーションコース
琉水亭はなび
英語・バイリンガル落語家、港区観光大使、MC、薬酒・薬膳酒協会理事アンバサダー、ライト俳句協会アンバサダー、ラジオパーソナリティー
ニューヨークやサンフランシスコにてラジオのレギュラー番組を担当。日本ではZIP-FM・Shibuya-FMなどで多数のレギュラー番組を担当。一万人規模の音楽フェス・東京都主催のイベントMCやテレビリポーターも務める。現在は、港区観光大使を務め、Google PixelのCMにも出演。2020東京オリンピック国際交流・横浜国際フェスティバルや様々な場所で英語落語の高座を行う。
日本の伝統芸能でもある落語を通して、世界中の人々に笑顔を届けたいと精力的に活動中。
日頃の活動内容について
本授業で行ったようなバイリンガル落語や英語落語を行っています。英語落語は月1回浅草での公演の他、保育園や小中学校でもやらせてもらっています。
私は「愛と元気と笑顔を運ぶ」という使命を持っています。その想いを最も伝えたいのが中学生や高校生だと思っていましたが、残念ながら今まで高校での機会はありませんでしたので、今回出張授業のお話をいただき、とても嬉しく思いました。
授業の内容・企画について
伝えたいことがたくさんある中、全体として「コミュニケーションの重要さ」に繋がるよう、今回のテーマだけをピックアップすることを意識し、削りながらお話を組み立てていく作業に少々苦心しました。通常、出張授業では50分程度のものを二演目行うことが多いのですが「生徒たちに小噺をプレゼントする」という発想から、演目は一つ小噺を二つという構成にしました。
授業と演目の流れ・ポイント
私は落語家になる前に、ヒップホップを学ぶためにアメリカに留学した経験があります。当時英語が思うように話せない苦労がある中、私がいかにコミュニケーションを駆使してアメリカでの留学生活を送っていたか、そしてなぜ英語が満足に話せない日本人がクラスの人気者になれたのか、エピソードも交えてお話しをしました。
その後、『Museum』という英語の小噺、『Aligator』というバイリンガルの小噺を披露しました。どちらもコミュニケーションをテーマとしたクスッとするお話です。
次に『反対俥(はんたいぐるま)』という古典落語を、バイリンガル落語としてアレンジした演目を披露しました。
最後に、私が人生で経験した様々なことを踏まえて感じた「日本人は世界を救う」という考えや、「笑顔を世界に広めたい」という夢についてお話ししました。私は一度大学受験を失敗しています。それでも夢に向かって一生懸命やった結果、当時目指した「ラジオのパーソナリティ」に行き着きました。さらにその過程で「英語が話せる」という武器も手に入れることができた。その武器で今私がバイリンガル落語をやっているように、一生懸命やったことは無駄にならずに全部自分のものになります。
アニメや電車、スポーツ、音楽など好きなことがあってそれを一生懸命やることもコミュニケーションの一つのツールになることがあるので、やりたいこと、自分の夢を見つけてほしいと高校生の皆さんにお伝えしました。
お話をしているうちに、クスクスしてくれたり、ニコニコしてくれて、終わった後に生徒さんが話しに来てくれて、「良かったです」と言ってくれました。全体的に私が伝えたいことが伝わったのが分かって、とても嬉しい授業になりました。
高校生へのメッセージ
コミュニケーションは、人と人との繋がりです。私自身が人と人とのコミュニケーションで出来上がっています。
私は、人と様々な話をすることによって情報をもらっています。どの事務所にも所属していないので、仕事もコミュニケーションでもらっています。いくら頭が良い人でも、コミュニケーションがうまくできないと上の方には上がれない。私なんかはこの最たるもので、コミュニケーションがうまくできないと仕事をいただけないという状況にあります。
様々なコミュニケーションのツールがあって、言語はもちろん、ボディランゲージ、それから自分が好きなことを一生懸命するということもコミュニケーションツールの一つだと思います。生徒の皆さんには様々なコミュニケーションツールを使って、広くイノベーションを起こすことができる可能性があります。だから、自分のアイデアや思いを伝えられるようになって欲しいと思います。自分の夢や目標を持って、失敗を恐れず挑戦して欲しい。失敗しても全部自分の肉となり血となります。自分らしさをもっともっと豊かにして、世界に出ていって欲しいと思います。
東京立正高等学校のイノベーションコースとは
課題解決型学習(PBL)を積極的に取り入れた授業を行うコースです。探究の授業ではボランティア活動をはじめ、地域の課題、世の中の課題について、生徒が自ら実際に取り組んでみることを通して課題解決を考えていく、といった活動を行っています。
特別授業の校内での意見・評価
本校にはSDGs委員会という組織があり、私と各担任の先生が話をしてイノベーションコースのプログラムを組み立てています。このコースでは、様々な地域で課題解決に取り組んでいる大人と関わる機会がありますが、本特別授業でのコミュニケーションについての学びが、今後そういった方々と関わる時のプラスになると強く感じましたので、スムーズに話を進めていくことができました。
校長も私と同様の考えで「これから様々な人と関わることを見越し、高校1年生のこのタイミングでこういった授業を実施できるのはとても良いことですね」と申しておりました。
授業の感想
「コミュニケーション」というテーマを軸に、前半と後半が非常にうまく繋がっている授業展開だと感じました。イノベーションコースでは、「夢に向かうこと」に加え、「自分が周囲に貢献できること」に焦点を当てています。具体的な目標がまだ見つかっていない生徒も、本授業によって、これから何かアクションを起こしていかなければいけないという気持ちが芽生えたのではないかと思います。
特別授業の生徒たちの反応
最初は少々緊張していた生徒たちも、琉水亭はなびさんの話術や熱意、田口先生の「生徒を授業に引き込む上手さ」によって徐々にほぐれてきて、自分たちの考えや気持ちが表情に表れるようになり、楽しみながら与えられた課題について考えてくれました。
最後は話を聴きながらリアクションを取ってくれるなど、活き活きとした生徒たちの姿を見ることができたのは、お二人がうまく生徒たちの素の部分を引き出してくださったおかげだと思います。
生徒たちに期待すること
様々な課題解決に携わっている大人と生徒たちがより多く関わる機会を設けることにより、「課題へのこういった関わり方があるんだ」「こういう職業があるんだ」という気付きを得てもらいたいと思っています。
夢がまだはっきり見えていない生徒たちに対して、このような気づきを与えるアプローチを取っていきたい。そして、その夢や将来の目標に、周りの困っている人や物事に対して自分が何か一つでもプラスになるようなことを行う課題解決の視点を加えることができたらと思っています。
出張授業を受けた生徒の声
井合 杏 さん
はなびさんの授業で初めて落語を聴きましたが、こんなにも面白いものだとは知りませんでした。特にはなびさんはバイリンガルの演目ということで、日本だけでなく、世界でも楽しめるものになっていることに感心しました。
人生の先輩のお話をこれだけの時間しっかり聴ける機会はなかなか無いので、とても楽しかったです。こういった授業をまた受けたいと思えました。
小林 大河 さん
はなびさんの授業を受けて、コミュニケーションの大事さや面白さ、コミュニティ内での立ち振る舞いについて学びが深まりました。自分も海外に出て活躍したいと思えるような授業でした。
私は、人の前に立っても恥ずかしくない大人になりたいと思っています。職業はまだ決まっていませんが、大学で遺伝子や古生物を学びたいです。この授業を受けたことで、目標を持ち、それに向かって生活していこうという気持ちがより一層強くなりました。