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導入事例

助動詞「せ」を中心に源氏物語『桐壺』を読み解く授業
発表や解説内の重要単語をオンライン辞書機能で調べながら進行

浦和実業学園高等学校 ClassPad.netを使った授業風景

浦和実業学園高等学校

〈埼玉県〉

田口 純平  先生

教科:国語 指導学年:2、3年生

浦和実業学園中学校・高等学校

校訓

実学に勤め徳を養う

学問のための学問ではなく、実社会に出て役に立つ学問、実学とは何かを模索しながら教育を行ってきました。世のため人のために尽くす人間の育成を目的とし、挨拶や感謝、奉仕、反省の気持ちを持つ『徳育』にも力を入れております。

ICT教育の課題・テーマ

生徒の主体性を培うためのアクティブラーニングやICT教育

新しい学習指導要領では、『主体的・対話的で深い学び』が掲げられています。実社会で役立つスキルを身につけるためには、アクティブラーニングやICT教育を用いて、生徒の主体性を培っていく必要があると考えています。学びにおいては、教室で生徒同士で意見を出し合ったり教師とやり取りしたりする協働学習が非常に重要であり、オンライン会話ツールを使った画面越しの授業ではなく、学校でみんなが顔を合わせて集まることの意味に繋がってくると思います。

知識を吸収しそれを深めていくには、自学の姿勢が欠かせません。その姿勢が学力の向上に繋がります。その自ら学ぶ姿勢作りは、これまでは家庭学習あるいは塾や予備校といった学校以外のところに任されていましたが、ICTの活用により、学校の授業と家庭を連結できるようになりました。これは非常に効果が大きいと思っています。 当然、協働学習に不慣れなタイプの生徒もいますので、そのような生徒たちをどうサポートしていくかが課題となりますが、教師側の工夫により、かなり改善していると思います。

端末整備状況

本校では公務のDX化を推進するなかで、4年前から教職員にiPadを配布しており、職員会議の完全ペーパーレス化を実現しました。印刷や製本の手間が無くなり、働き方改革に繋がっていると思います。 生徒は3年前から入学時にiPadを購入してもらっていますので、今年度は全生徒が1人1台のiPadを持っている状態です。

ClassPad.net導入に至った経緯と理由

言葉の力を効率的に育むことができるオンライン辞書機能

勉強する上で一番大事なのは言葉だと思っています。特に最近の共通テストでは、全ての教科で読解力が問われていますので、言葉の力を育む必要があります。
また、試験だけではなく、他者とのコミュニケーションや自分の考えを深めていくプロセスにおいても、人は言葉を使っています。豊富な言葉を持ち、それを自由に操って考えを深めていくことが一番大事だと思っています。
ClassPad.netを導入したことで、言葉の力を育むことの効率化が図れております。生徒たちがClassPad.netのオンライン辞書機能を活用し、「これはどうなんだろう」と言葉に興味を持ち、次々と関連した言葉を短時間で効率よく容易に調べられる。そういった点が非常にありがたいツールだと思っています。

浦和実業学園高等学校 岡田 慎一 校長先生
使役の助動詞「せ」を中心に 源氏物語『桐壺』の疑問を読み解く授業 発表だけにとどまらず、話し合いの過程も紹介する中で出てきた 重要単語をオンライン辞書機能ですぐに調べます。

発表に至るまでの話し合いの可視化と「受験とどう繋がるか」の視点を重視

生徒が発表する形式の授業は多いと思いますが、発表だけで終わってしまうのではなく、実はその発表前までに行われる話し合いが最も重要だと考えています。その話し合いの中にこそ、気づきや覚えるべきことがあり、それらを可視化することをポイントにしています。
ClassPad.netを活用し授業内で生徒たちから受け取ったものを発表する双方向での授業を行いました。古文の学習には単語の意味の把握が欠かせませんが、それを教師が簡単に教えてしまうと、そこで理解が終わってしまいます。そうではなく、生徒が自分で調べ、まとめ、振り返る。語彙と学習の相乗効果を狙った授業です。
アクティブラーニングのポイントである「受験とどう繋がるか」の視点も考慮しています。ただ単に答えを出していくのは正解/不正解の結果しかもたらしませんが、実はその前までの考え方が応用として次の問題の正解へと導いてくれます。国語は同じ問題が二度と出ないと言える教科ですが、考えてきた過程をしっかりと生徒たちが理解する、そのための授業を展開しました。

授業の流れとClassPad.netの活用方法

STEP1

授業開始と同時に全員がClassPad.netにログインする。

STEP2

前回の授業で話し合った「なぜ帝は急いで桐壺を参内させたのか、桐壺もなぜ急いで参内したのか」について、班ごとに考察を発表するための資料をデジタルノートのふせん機能を使い10分間でまとめる。
その間、教師が進捗を見て回り、アドバイスを伝える。

ClassPad.netを活用した授業風景
ClassPad.netを活用した授業風景
ClassPad.netを活用した授業風景
STEP3

作成したふせんを授業支援機能で教師の端末に送信し、全班のふせんを集約。
発表する班をくじで決め、班の代表者がプロジェクターでふせんを投影しながら発表する。

ClassPad.netを活用した授業風景

発表を聞いている他の生徒は、自分たちの班のアプローチと比べながら、発表班の内容をまとめる。

ClassPad.netを活用した授業風景
STEP4

教師が、発表した班やその他の班の話し合いの過程を紹介しながら、各班の「良い視点」や「独自の鋭い視点」を解説する。

ClassPad.netを活用した授業風景
ClassPad.netを活用した授業風景

各班が発表した理由の判断の拠り所となる本文についても紹介しながら、その中で出てきた「楊貴妃のためし」「物忌」「方違」といった重要なキーワードついて触れ、全員がオンライン辞書機能でその言葉の意味を調べる。

STEP5

1年前、2年前に同じ課題を行った先輩たちの答えのアプローチと教師のアプローチを紹介。
本文には書かれていない平安時代の産後の儀式の存在を考慮するアプローチにより、「訳が間違っている」というひとつの結論を提示し、多角的に調べ考えていく視点を与える。

ClassPad.netを活用した授業風景
STEP6

全班の発表シートと教師作成の資料をClassPad.netで全員に配布。

デジタル社会におけるネット検索の弊害や上手な付き合い方とは

インターネットでの検索は非常に幅が広く、使い方に注意すれば大きく可能性が広がるものだと考えています。例えばChatGPTは使い方によっては非常に有意義です。
ただ、インターネットは調べるとそのまま答えが出てきますが、出てきた答えを疑問に思うかどうかが一番のポイントです。疑問に思い、答えが合っているかどうか振り返り情報を集める力がSociety 5.0の目標だと思っています。
インターネットを使って広く調べる、あるいはChatGPTも含めて使える、これは社会に出てプラスになると考えています。ただ、そのまま使うのではなく、疑問に思うこと。必ず「なぜ?」という疑問を持って使うことが大きなポイントだと考えています。

他教科でのClassPad.netの活用状況

本校は中高一貫校ですが、中学校ではアクティブラーニングが非常に盛んに行われています。例えば俳句を作ったり、短歌を読んだり、それを批評したりといった国語での活用。そして英語では、生徒たちが英文を読む様子を録画して教師に送るという取り組みをしているようです。
高等学校では私が受け持つ国語だけでなく、英語でも活用しています。授業支援機能での英訳の提出や、オンライン辞書機能を用いて調べたことをデジタルノート機能でまとめています。そして「カシオ計算機イコール関数電卓」というイメージの通り、数学の先生からも高評価で、数学ツール「ClassPad Math」活用の取り組みも進めています。
また、体育や芸術などを含め、それぞれの教科でも使っていけるのではないかと考えています。国語等が先導していきながら、様々な教科で有意義に使っていける土壌を作っているところです。

宿題や自宅学習でのClassPad.netの活用機会

家庭学習をどのように行っているのかは一番大きなポイントであり、我々教師が知りたいところでもあります。多くの先生方は生徒がどのくらい勉強したかを評価するためにノートを集めていると思いますが、非常に重いノートの束を何クラス分も置いておかなければなりません。本校の場合2,700名おりますので100を超えるクラスがあり、2単位の教科を持っていたとすると10クラスを担当することになります。10クラスごと40人分のノートを集めるのは非常に大変です。そういったことを考えますとClassPad.netを活用してデジタルでまとめたものを生徒が送ってくることは、場所や時間の観点からも、校務支援として非常に優れていると考えています。

私の場合、演習の授業で生徒が問題を解き自己採点したものを送ってもらっています。そうすることで全員の自己採点を3、4分でざっと見て把握し、その中で一番間違っているところを重点的に説明することができますので、授業としても効果的です。このような授業の中での即時性はメリットだと考えて利用しております。

導入前と導入後の【授業での変化】

「辞書で調べ正しい情報を得て考える・それを残しておく」という意識が教師と生徒に定着しました。

まず、我々教師の意識が変わりました。今までは、教師が板書しつつ説明し、それを生徒がノートに書き写す、という状態でした。
ClassPad.netを導入したことによって、授業中に分からない単語が出てきたらすぐに調べることができます。生徒が40人いたら、それぞれ分かるところと分からないところは違うはずです。「私はここは分かるからいらないよ」「私はここが分からないから調べてみよう」といったことができるようになったのが大きいと思っています。
今までは、教師から教えられるのをただ待っている、という状況でした。それが悪いことだとは一概には言えませんが、生徒が自主的に自分で分からないところを調べられるようになったのは、ClassPad.netのオンライン辞書機能の効果だと考えています。

ClassPad.netを活用した授業風景

双方向授業が盛んに行われるようになりましたが、双方向の形を取るだけでは上手くいかないところがあります。生徒たちはインターネットで調べてすぐに貼りつけた方が楽ですが、そうではなく、しっかりとした辞書で調べ正しい情報を得て考えること、そしてそれを残しておくこと。ClassPad.netを導入してから、教師と生徒にこのような意識が定着してきたと思います。

導入前と導入後の【生徒の変化】

「分からない!」と思ったときにすぐに調べられ、一歩止まって学習できるようになりました。

生徒たちには、ICT機器を渡されたらどうすればいいのだろうという疑問があったようです。また、保護者も同様に端末の使い方についての疑念をお持ちのようでした。そこで本校では1年生は必ず朝ClassPad.netにログインすることからスタートするようにしています。授業中常にそばに置いておくことで、分からないことが出てきてもすぐに調べられる安心感があります。

今までは教師が一気に説明したことをノートに書き、家で覚えてテストをするという受身の形で、分からないことがあっても授業が進んでいってしまっていました。
ClassPad.netの導入によって、「分からない!」と思った時に、国語であれば辞書があり、社会でも理科でも参考書がある。ぱっとすぐに調べられるようになった。一歩自分が止まって学習できるようになった。家ではなく授業中に考えられるようになった。そのような変化を生徒たちは感じているようです。

ClassPad.netのオンライン辞書機能

生徒の保護者さんの声や評価

ICT活用というのは保護者には見えづらく、「どう使っているか分からない。YouTubeを見ているだけではないのか」といった厳しい意見も当初ございました。どう使っているのかというのは、イコール学力が上がっているか、そして生徒たちが家で使っているか、この2点だと考えています。本校では、家庭学習でできるコンテンツも入れており、そのコンテンツを生徒がiPadでやることによって、保護者は勉強している様子が見え、安心してくださいます。

また、自宅での端末利用にはWi-Fi環境の問題がありますので、本校ではLTE回線を導入し、どのような環境でも勉強できるようなシステムを構築しました。例えば、長期欠席や感染症などで学校に来られない生徒たちに向け、自宅で学校の授業を見ることができるオンライン配信などを地道に行っていくことで、保護者や生徒から信頼を得られるように進めています。その中で保護者からICTの活用に対して「ありがたい」という声もいただくようになってきました。

お気に入りの機能・使い方

EX-wordのコンテンツが搭載されたオンライン辞書機能、そして調べたことを貼り付けておけるデジタルノート機能です。

私は国語科として、言葉を非常に重要視していますので、やはり一番のお気に入り機能はEX-wordのコンテンツが搭載されたオンライン辞書機能です。すぐに検索できる、そしてすぐにそれをデジタルノートに貼り付けておける。その「残す」作業が今まではできなかったのでありがたいと思っています。
また最近では、昔の生徒たちが作ったノートを授業支援機能を使って生徒たちに送信しています。生徒は家に帰ってから「この先輩はこんな風に捉えていたんだな」と参考にしています。

ClassPad.netを使用した今後取り組みたい授業

生徒が自主的にどんどん調べ、考え、進めていく究極のアクティブラーニング

私が椅子に座ったら、生徒たちが何も言わず授業が進んでいくというのが私の究極の目標です。「今日これやるんだよね、じゃあやっていこう」「これ分かんないな、ClassPad.netで調べてみよう」というように、私が黙って座っていてもどんどん進んでいく。これが究極のアクティブラーニングだと考えています。
今までは分からなかったら手を挙げて先生に質問するしかありませんでしたが、手を挙げて聞ける生徒はそれほど多くありません。ClassPad.netは自学をするために一番必要で助けになるものです。とにかく分からなかったらまずは自分で調べる。手を挙げなくても、自分の隣にClassPad.netという先生がいるという状態で授業が進んでいく。教師が説明し教師と一緒に授業を進めていくのではなく、プラスアルファとしてClassPad.netを調べていけばそれが助けになっていくという授業を目指しています。

これがどんどん進みますと、生徒が解いてきたものが全部私に送られてきて、それに対し「もう1回考えてみて」と一言言っただけで生徒たちが自分で調べて、解答をまた出してくる。それを電子黒板で投影して、「ここが良いね」「こういう考え方が良いよね」と解説する。このように私の発言が少ししかなくても授業としては成立することになります。
ClassPad.netは生徒たちが自学をするための助けになる。私と共に、もう1人の先生だと考えてこれから活用していきたいと考えております。

ClassPad.netを活用した授業風景

生徒に聞いた、ClassPad.netの「良いところ」

田中 沙季 さん 自分が持ってない参考書や用語集が入っていて、 教科に合わせて活用でき、検索すると瞬時に出てくれてありがたいです!

ClassPad.netには、自分が持ってない参考書や用語集が入っていて、教科に合わせて活用できるところが良いです。英語の文法参考書や日本史の用語集など、検索すると瞬時に出てくれるのはとてもありがたいです。
デジタルノート機能は、メモやふせん、スタンプなどを使うことによって要点がまとめやすく、特に文系教科で活用しやすいです。
また、授業支援機能を活用すると、分からないことを自宅からでも先生に聞くことができるのでとても良いと思います。

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