メディアの発明と歴史を辿る情報の授業
資料を全て収納しておくことでスムーズな授業展開を実現
遊学館高等学校
〈石川県〉
小坂 英洋 先生
教科:情報 指導学年:全学年
校訓
遊学の精神の涵養
遊学の精神とは「何ものにもとらわれず、自由に広く世の中を見聞し、人格を高め磨いていくこと」を意味しています。
教育目標
「文武に励み、自らの品格を高めるとともに他者の人格を重んずる心を養い、遊学の精神を持って未来を切り拓く人間の育成をめざす。」ことです。
ICT教育の課題・テーマ
本校では昨年度、一年生からChromebookを持たせました。今年の新入生からはiPadを持たせています。
ただ、先生方もまだ活用しきれていない点が多く、授業では調べ学習はできても、それ以外の活用にはまだまだ研究が必要だと感じています。Wi-Fi環境が十分に備わっていないところもあり、環境としても不十分な点があります。プロジェクターを設置した当初は、全ての先生が活用する状況ではありませんでしたが、それでも現在ではほとんどの先生がプロジェクターを使うようになり、板書をすることなく授業を進めています。
これはかなりのスピード感を持って進みましたので、今後は若い先生を中心に活用されていくことを期待しています。
端末整備状況
昨年度のChromebookは、学校の貸与という形で生徒に渡しています。三年間生徒が使用した後、学校に返却するという形をとっていますが、今年入学した一年生に対するiPadについてはご家庭の負担としていただき、卒業後は自分のものになります。
ClassPad.net導入に至った経緯と理由
“EX-word”からの厳選されたコンテンツと
デジタルノート機能活用の可能性
カシオの電子辞書を購入していたことが、きっかけになっています。
ClassPad.netには、カシオの電子辞書“EX-word”から厳選されたコンテンツが入っているということで、そのまま継続して使用させてもらっています。また、デジタルノート等の機能もあるということで、今後の課題等のやり取りの活用を見込んで導入しています。
授業の流れとClassPad.netの活用方法
「メディアの発明と歴史、コミュニケーションの歴史、ユビキタス社会、ソーシャルメディア」という4つのキーワードについて、作成した授業資料をリンクふせんで見せながら説明する。
19世紀までに発明されたメディア一覧表を見せ、授業を進めていく。
授業展開が早い時に、ノートを取れなかった場合には、事前に配布された資料を見て記述するように指示。
「蓄音機」「ユビキタス社会」など、資料内でポイントとなる用語には「ClassPad.netマーク」をつけておき、ミニレポートを出題。生徒はオンライン辞書を駆使して自分で調べ、まとめる。
コミュニケーションの歴史について二分程度のYouTubeを観せながら、コミュニケーション手段の変遷や「つながりのメディア」について解説する。
デジタル社会におけるネット検索の弊害や上手な付き合い方とは
「ググる」という言葉に代表されるように、インターネットで調べれば何でも出てくる世の中になりました。しかし大事なことは、インターネットの中ではなく辞書にあると私は思っています。かねてから私はハードウェアの電子辞書を奨励しており校内に浸透させようとしてきたのですが、それよりもっと良いClassPad.netというサービスがあるということを知って、今はClassPad.netを使って辞書検索をさせています。辞書を使うということが、本当の知識の定着に繋がると思います。インターネットも大事ですが、確固たる知識というのは、辞書から生まれると思っています。
他教科でのClassPad.netの活用状況
「一年生、二年生は全員電子辞書を持っていますので、これを使って授業をすべきではないでしょうか」ということを、私から全教員に勧めています。私はClassPad.netを信頼して使っていますので、まずは辞書から、そしてノート提出などの他の機能についても先生方に知っていただき、使っていただけたらと思います。
特に英語と国語の先生は、オンライン辞書機能の活用、あるいは授業支援機能によるノート提出などを積極的に行っているようです。
宿題や自宅学習でのClassPad.netの活用機会
私の授業では、よく辞書調べをします。辞書をその場で調べることもありますし、自宅で調べてきなさいと投げかけることもしています。生徒には作ったノートを、ClassPad.netで提出してもらうようにしていますが、自宅からでも提出できることや辞書を使って調べたことを書き込めるデジタルノート機能は、学校外で勉強することの助けになっていると思っています。
導入前と導入後の【授業での変化】
ClassPad.netに出会ってから、板書で授業をすることがほとんどなくなりました。
私は今まで黒板で授業を進めていましたが、ClassPad.netに出会ってからは、板書で授業をすることはほとんどありません。やはり投影した方が、生徒は見やすい。
ノートは事前に私から生徒に配信しますので、いわゆる反転授業という形で、事前にノートを確認してから授業を受けることができます。これが非常に強みではないかと思っています。生徒がその授業で初めて黒板に接して黒板の内容を書き取っている時は、おそらく何も聞いていない。あらかじめノートを配信しておき、確認してから授業を聞くということは大きな違いです。ほとんどの生徒が授業中に顔を上げて私の話を聞くようになったということが、その表れではないかと思います。
前を向いてくれる生徒はほぼ100%、これは以前に比べ倍増した数値ですので、かなりの効果があったのではないかと思います。ノートの提出に関しても、写真を撮ってノートを提出させるというスタイルにしたことで、ノートを集めきれないということもほぼなくなりました。
100%200%という数値で表現しても良いぐらいに、ClassPad.net導入の効果があるのではないかと私は思っています。
導入前と導入後の【生徒の変化】
生徒から「分かりやすい」という言葉が出てきたことです。私は授業では色々と話すタイプですので、生徒がノートを書いていると、私が話す言葉が耳に入ってこないということがあると思います。それでも、分かりやすいという感覚を生徒が持ったということは、授業前に配信したノートを事前に確認して、話をしっかり聞いてくれているからだと思います。私が話すことは教科書を超越した内容が多いのですが、そういったことも含めて生徒たちが知識を深めてくれていると感じられます。
今日、授業を行ったクラスはみんな知識力が高い生徒ばかりですが、そんな生徒たちから、非常に楽しいです、面白いです、分かりやすいですと言われるのは非常に喜ばしいことだと思います。
生徒や保護者さんの声や評価
本校は、本年度からiPadを採用しました。タブレット端末を使って学習をするということに関しては、生徒にとっても保護者の方にとっても、非常に敷居が低いという感覚があります。
タブレット端末に教材を入れてそれを展開することで、今ならではの学習がすぐにスタートできるということが大きいと思っています。生徒と保護者さんからは、タブレットやClassPad.netの導入によって、勉強がしやすくなったというお声をいただいており、本校の取った方向は良かったと思っています。
お気に入りの機能・使い方
デジタルノート機能で授業の事前準備を行っています。
タブレット端末の中で、ClassPad.netだけではなく、Webを開いて様々なサイトを見ることができるというのは非常に大きなことです。
例えばデジタルノート機能であらかじめ入れてあるPDFを閲覧する、あるいは事前に用意してあったリンク先に移って教材を見せるということを、ClassPad.netを起点にして行うことができます。このような形の授業の展開が私にとっては非常に合っていると思います。
また、生徒にとってもそれが私のスタイルだと浸透しているので、生徒も苦労なく、ノート提出を行ったり、あるいは私の教材をきちんと見てくれたりしています。本当に使い勝手のよいアプリだと思います。
ClassPad.netを使用した今後取り組みたい授業
私が今後課題にしていこうと思うことは、生徒の情報活用能力の向上です。
生まれた時にはすでにスマートフォンが普及している、という世代の生徒たちです。しかし情報の活用方法や情報収集の仕方に、まだ慣れてはいません。自分にとって有益な正しい情報なのかということをきちんと選別して収集し、それをまとめて発信できる能力が必要だと思っています。そのためにClassPad.netの中から、例えばクラス全体でコラボレーションできるような機能を使って、みんなで情報を作り上げていくことができたら非常に幸せだなと思っています。
生徒に聞いた、ClassPad.netの「良いところ」
先生が授業で使うスライドをClassPad.netで事前に配信してくれるので、家での予習に役立っています。実際に授業で先生が使う資料を確認しておけるので、授業が分かりやすく感じるようになりました。課題の提出もClassPad.netで行えるのは便利だと思います。
また、分からなかった単語をClassPad.netのオンライン辞書機能を使って調べ、単語帳に入れておけるので、次の授業で分からなかったものを見返すことができて便利だと感じています。特に情報は分かりにくい単語が多いため、非常に役立っています。