【ICT教育に役立つツール10選!】
現場の先生の校務や授業に活用できるツールをご紹介
ICT教育には、タブレットなどの端末、そしてインターネットに繋がっていることが土台にありますが、それだけでは授業や実務へどのように使っていけばよいのかわからない、という先生も多いと思います。そこで役に立つのがICT教育のためのツールです。
ICT教育におけるツールとは、ソフトウェアのことですが、活用できるソフトウェアは多岐にわたります。本コラムでは、現場の先生に役立つツールやサービスを、目的や種類ごとにご紹介します。
■目次
ICT教育のコミュニケーションに役立つツール
①課題の受け渡しや管理に<Google Classroom>
②教師間/生徒間のオンライン会議/授業に<Google Meet>
③教師間/生徒間の情報共有に<Google ドキュメント/スプレッドシート>
④生徒へのアンケートの実施に<Google フォーム>
⑤授業や校務のデータの置き場所に<Google ドライブ>
ICT教育の授業に役立つツール
⑥授業用の資料づくりに<Google スライド>
⑦ホワイトボードや紙のデジタル化に<Adobe Scan>
⑧授業動画作成に<Lecta>
⑨小学校から高校まで、豊富な教育動画コンテンツ<NHK for School>
⑩辞書、デジタルノート、授業支援、オールインワンのICT学習アプリ<ClassPad.net>
ICT教育に役立つその他のユニークなツール
ICT教育のコミュニケーションに役立つツール
ICT教育を推進している自治体・学校では、端末と合わせて、GoogleやMicrosoftのアカウントが教師/生徒にそれぞれ発行されるケースも多いでしょう。特にGoogleでは、様々なツールが提供されており、連絡や情報共有など、コミュニケーションの視点で幅広く活用でき、ツール間での連携使用もしやすく、ICT教育のベースとして非常に有用です。
①課題の受け渡しや管理に<Google Classroom>
Google Classroomは名前からもわかる通り、学校向けに開発されたWebサービスで、課題の作成、配布、採点をデジタル化・簡素化できるツールです。
クラス全体や個別生徒に対するお知らせを、Classroomから発信することができます。文章による事務的な連絡にも便利ですが、Classroomは、課題の作成と受け渡しができることが教育現場における大きなポイントです。
pdfファイル、動画、URLリンクなど、さまざまな資料を使って課題を作ることができ、その作成した課題には提出期限をつけて投稿することができます。さらにその課題を誰がいつ提出したのかを確認できたり、課題を採点して一覧にしたり、といった管理がClassroom上で完結します。まさにICT教育のためのツールと言えます。
②教師間/生徒間のオンライン会議/授業に<Google Meet>
Meetは、Googleのテレビ会議用のツールです。Googleのアカウントから、会議(授業)用のURLを簡単に発行でき、そのURLを参加者に共有すれば、Chromeなど、ブラウザ上で行うことができます。
③教師間/生徒間の情報共有に<Google ドキュメント/スプレッドシート>
ドキュメントは、主に文章などを複数のユーザーとリアルタイムに共同編集が可能なワープロアプリケーションです。教師間/生徒間の文章ベースでの資料の共有に便利です。モバイルにも対応していますので、Classroomでのお知らせに「授業のおさらい」としてまとめたドキュメントへのリンクを添えることで、生徒が自宅で見返す、という使い方も可能です。
スプレッドシートは、Excel との互換性も高い表計算アプリケーションです。小テストの結果を管理したり、時間割表を作ったりする使い方ができます。また、化学の授業での実験結果の数値の整理などにも活用できるでしょう。
クラウドサービスのため、生徒の個人情報などの掲載の取り扱いには注意が必要です。各学校や自治体・教育委員会の規則に則った利用を心がけましょう。
④生徒へのアンケートの実施に<Google フォーム>
簡単にアンケートフォームを作ることができるツールです。授業後にアンケートを取ることで、次の授業への改良点の発見や、生徒の理解が追いついていないポイントの把握などに役立ちます。アンケートの解答はスプレッドシートで集計されるので、まとめる作業も効率化できます。
⑤授業や校務のデータの置き場所に<Google ドライブ>
Googleドキュメントやスプレッドシートなどは、クラウドで管理されているので、データの置き場所は不要ですが、全ての資料がそうとは限りません。教師のパソコンに保存されている資料や写真データ、文献のスキャンデータなどの格納場所としてGoogleドライブが活用できます。ドライブにアップしたデータへの共有URLを発行することで、そのURLを教師/生徒に展開し、データを共有することもできます。
ICT教育の授業に役立つツール
ICT教育のメインとなるのはやはり授業です。しかし、ICTをいかに授業に取り入れるかは多くの先生が悩まれていることでしょう。ここからは、実際の授業に活用できるツールをご紹介します。
⑥授業用の資料づくりに<Google スライド>
板書を止めて、授業のデジタル化を実現したいと思っている先生も多いと思いますが、今まで黒板に書いていたことはどうやって生徒のタブレット上で見えるようにしたらよいのかわからない、そんな時に活躍するのがGoogle スライドです。ブラウザ上で授業用資料の作成、編集を行うことができます、複数人での編集も可能なため、同じ教科の別の先生と共同で資料を作ったり、作成した資料に対して先輩の先生からアドバイスを受けたり、といった使い方も考えられます。
⑦ホワイトボードや紙のデジタル化に<Adobe Scan>
ICT教育の推進は、ペーパレスの推進でもあります。しかし、いきなり紙を全て無くすことは現実的ではありません。
キーボードによる入力の能力を高めることも重要ですが、手で書くことは教育において同じくらい大切です。大きな紙に生徒複数人でアイデアを書き込みながらまとめていく、といったようなアナログの行為を、デジタルデータとして残す手助けをしてくれるのがスキャンアプリ『Adobe Scan』です。
板書スタイルが得意で、いきなり全てをデジタル化することに抵抗のある先生もいらっしゃることでしょう。授業でホワイトボードに書いたものをスキャンしておき、そのデータを授業後に生徒に共有するだけでも、ICT教育を進めていると言えます。
また、漢字の書き取りや数学の証明など、手書きで行うような宿題や課題も、紙やノートでの提出ではなく、スキャンしたデータとするなど、活用の幅が広いツールです。
⑧授業動画作成に<Lecta>
新型コロナウイルスの影響により、授業のあり方は変化しています。多様化する授業形態の一つであるオンデマンド配信での撮影と編集を手助けしてくれるツールがLectaです。 Lectaは黒板全体が映るようにスマートフォンをセットして録画するだけで、教師の動きにあわせ、カメラワークやピントなどを自動で合わせてくれて、自動で編集できます。オンデマンド配信では、授業時間が50分を越えるため、動画の容量が膨大になってしまうことが問題ですが、配信に適した容量にダウンサイズしてくれるので非常に有用です。
⑨小学校から高校まで、豊富な教育動画コンテンツ<NHK for School>
映像を活用した教育・授業は生徒の理解をより深めたり、その教科や項目に対する興味関心を高めたりする非常に強い力を持っています。YouTubeなどでも有益なコンテンツはありますので、授業の狙いによっては活用できますが、やはり信頼度や質の面では、懸念もあります。NHKが提供している教育系の動画コンテンツ『NHK for School』は小学校低学年向けの“楽しみながら学習できる動画”から中学生〜高校生向けの専門的な分野の解説動画、そして、現在の社会情勢について考えるきっかけとなる動画など非常に幅広いコンテンツが掲載されています。1本10分程度のものが多く、授業全体のなかでも時間を取りすぎない、バランスの取れた構成になっています。もし、クラス全員で同時に視聴することが機材の関係で難しい場合は、授業の補足として自宅での視聴を促すなど、効果的な活用方法がありそうです。
⑩辞書、デジタルノート、授業支援、オールインワンのICT学習アプリ<ClassPad.net>
ここまで、目的に合わせた便利なツールをご紹介してきましたが、一人一台のパソコンやタブレットでの日々の授業に幅広く活用するためには、ICT教育に必要な様々な機能を兼ね揃えた総合学習アプリが役立ちます。
ClassPad.netは、日常の学習に効果的な「調べる」「見返す」「理解する」「伝える」が効率的に行えるオールインワンのICT学習アプリです。
高校学習に大活躍の電子辞書『エクスワード』の主要な辞書コンテンツを利用できるオンライン辞書機能。自由なワークスペースにふせんを貼る感覚でオリジナルのノートを作ることができるデジタルノート機能。オンライン授業・双方向授業に役立ち課題配布・回収の手間も削減できる授業支援機能。そして、動く図形やグラフの活用により、理解や知識の定着を促進する数学ツール「ClassPad Math」が備わっており、現場の先生の日々の授業に大きく役立ちます。
ICT教育に役立つその他のユニークなツール
本コラムでご紹介したツールの他にも、様々なユニークなツールが存在しています。
最後に、ICT教育を自ら試行錯誤し活用法を日々探っている、山口県の工業高校で化学を専門とする 沓脱秀尚(くつぬぎひでなお)先生のお話をご紹介します。
沓脱先生は、さまざまなアプリケーションを活用して、日々の授業に役立てています。そのひとつが、ノルウェー発のアプリKahoot!(カフート)。4択問題や◯×問題をはじめ、様々な出題形式のクイズをゲーム感覚で楽しむことができて、授業の導入で生徒の学習意欲を掻き立てるのに適したツールです。クイズは自作することができ、また世界中で作成された問題にチャレンジすることもできます。
化学を担当されている沓脱先生のクイズでは、例えば元素にまつわる4択クイズが1問1答形式で進んでいきます。クイズ番組のような感覚で、1問1答ごとにクラス内での上位ランキングが表示されるので、生徒たちは楽しみながらも、本気でクイズに臨んでいるそうです。
沓脱先生は、生徒にもクイズの問題をつくる機会を与えています。このアプリとGoogleフォームを連動させて、クラス生徒がフォームで作成した問題をスプレッドシートで集約し、Kahootに読み込ませることで、クラス全員の問題をクイズにしてゲームすることができます。
自分たちが作った問題を、自分たちで解くわけですから、ものすごく盛り上がり、なかには自身でいろいろ調べて沓脱先生も答えられないような難問を作る生徒もいるそうです。
「それでいいのです(笑)。化学が楽しくなったり、自然に学び始めるきっかけになったりすればいい。生徒は面白いと思ったら、自分で走り出します。学びとは、本来教えられるものではなくて、内発的に見出されていくもの。ICTは、そのきっかけの1つになれると思います」と語る沓脱先生。
そのお話に、ICT教育の本質を感じ取ることができました。
■著者・監修者
柿崎 明子
教育ライター。長期にわたり教育現場を取材。朝日新聞出版の週刊誌「AERA」、朝日新聞の教育サイト「EDUA」、東洋経済新報社の「週刊東洋経済」などに教育記事を多数執筆。
全国の中学校・高等学校で導入されている
ICT教育をサポートする、カシオの「ClassPad.net」
「ClassPad.net」とは、カシオが電子辞書や関数電卓で
長年培ってきたノウハウをいかし、
開発されたICT学習アプリです。
【主な特徴】
2.自由度の高いデジタルノート機能
辞書の検索結果や例文、Webページ・YouTube・Google マップのリンクなどを自由に貼り付けられるデジタルノート。調べてまとめることで思考力が身につきます。
画面は全て開発段階のため、最終仕様と異なる可能性がございます。