ICTを効果的に取り入れた授業をご紹介!
ClassPad.net活用で広がる高校のICT教育
前回のコラムでは、ICT教育に必要な4つの要素「調べる」「理解する」「まとめる・見返す」「伝える」を担うClassPad.netの機能と、その機能を活用して叶えられることについて解説しました。今回はさらに、ClassPad.netの機能を効果的に活用した授業事例を教科ごとにご紹介します。
【英語】のICT教育 授業事例
<対象:高校一年生>
『ゴジラに特別住民権を与えて、特任大使に任命した』というなんとも楽しい話題を元に、自分たちの町を発展させる方法についてグループで話し合う、とても興味深い英語の授業です。
ICT教育としてどのようにClassPad.netを活用したのか、見ていきましょう。
生きた英語が学べるCNNのコンテンツを上手に活用
ClassPad.netのオンライン辞書機能には、CNNが世界で報じたニュースを英語教材化した『CNN ENGLISH EXPRESS』が収録されていて、この授業ではそのコンテンツからユニークな記事を題材として選び、上手に活用しています。
音声読み上げ機能を利用して、リスニングをしたり、音読させたりすることもでき、多角的に題材の理解を促しています。英文読解で生徒が躓きやすいポイントや英文法についても、一連の流れの中で説明ができるのもメリットです。
ふせん機能の活用で生徒が授業に引き込まれる工夫
事前に授業のゴールや流れ、題材についての画像などをふせんとして作成しておき、それを進行に合わせて見せていく、スムーズな授業展開がポイント。クイズ形式のふせんや、ヒントとなる情報、題材であるゴジラの画像などを順に見せていくことで、生徒が自然に授業に引き込まれていきます。
この授業では、教師から見せるだけでなく、生徒もふせん機能を活用します。
授業の本題である「自分たちの町を発展させることの意義とその方法」についてグループで話し合いをした結果を「テキストふせん」にまとめ、提出します。さらに各グループ内で話し合った意見を発表しクラス全体で共有する、という時間も設けられています。
オンライン辞書機能とふせん機能を連携させ、ClassPad.netを効果的に使った授業例でした。
こちらのページでは活用法の動画や指導案などの詳細をご紹介しています。
【数学】のICT教育 授業事例
<対象:高校二年生 微分法と積分法>
3次関数のグラフの最大値・最小値がテーマで、定義域が変化する場合の最大値・最小値や場合分けを学ぶ授業です。ClassPad.netの数学ツール「ClassPad Math」を使ってグラフを動かして見せることで、生徒の理解を容易にしています。先生だけではなく、実際に生徒が動かしてみることもポイントです。
例題の配布はPDFデータでスピーディ・スマートに
例題の提示は、起点として大切ですが、あまり時間は割きたくないものです。この授業ではpdfデータをデジタルノートに貼付け、ファイルふせん機能を活用して板書代わりに表示することで、スムーズな配布を実現。問題を解く時間をより多く確保しています。
触って動かして理解が深まる!数学ツール「ClassPad Math」を最大限に活用
ClassPad.net自慢の機能である数学ツール「ClassPad Math」を活用すると、定義域を徐々に変化させる様子を動的に見せることができます。「最大値を取るxの値が2つになる」というような注意点の解説も、生徒がより理解しやすくなります。
教師からの解説だけでなく、グラフデータを生徒に配布して、類題に取り組むこともできます。
こちらのページでは指導案などの詳細や活用法の動画として実際にグラフを動かしている様子もご覧いただけます。
【国語】のICT教育 授業事例
<対象:高校二年生 漢文>
四字熟語「刻舟求剣」の元となった漢文を学ぶ授業です。古文や漢文は特に、文字や単語の意味を「調べる」「理解する」「まとめる・見返す」ことが重要になってきますが、この授業では、教師からの解説だけではなく、これらの行為を生徒自らが行うような構成になっていて、ClassPad.netを上手に活用している好例です。
生徒自身が調べるところからスタートする能動的な授業
重要単語のワークシートを生徒に配布し、本文中で使われる単語を「EX-wordふせん」を使って、生徒が調べて記入。その後、教師が辞書を見せながら単語の意味を説明することで、本文中以外の意味も学習し、知識を深められるような授業展開です。
「EX-wordふせんで」調べた単語は、何度も復習できるようにノートに保存しておけるのもポイント。授業の最後にはふせん機能を使って作成した課題のワークシートも配布しています。
EX-wordのコンテンツが収録されたオンライン辞書機能を使って生徒自らが調べるところから、解説、ノートのまとめ、宿題の提出やフィードバックまですべてClassPad.netで完結させた授業例でした。
こちらのページでは活用法の動画や指導案などの詳細をご紹介しています。
【理科】のICT教育 授業事例
<対象:高校一年生 物理>
物理の学習では、様々な要素が複合的に関係し合い、それらを理解することが重要になってきます。例えばここでご紹介する授業の単元「仕事と運動エネルギー」では、力学的エネルギー保存の法則を位置エネルギー、運動エネルギーおよび仕事と関連付けて理解することがポイントです。
法則などの数式情報の整理や、解説、演習まで、ClassPad.netの機能を効果的に活用した授業展開を見ていきましょう。
「EX-wordふせん」をフル活用、例題に関連する情報をわかりやすく整理
単元の中心となる例題を記載した「テキストふせん」を投影し、題材を提示。「法則の数式」や「用語の意味」など、例題に関係する重要情報は、「EX-wordふせん」を使って事前にデジタルノートに情報をまとめておき、必要項目をスムーズに解説したり、用意したふせんを生徒に配布したりして、効率的な授業を行っています。
類題への取り組み・提出は目立ちたくない生徒への配慮も
生徒が単元について理解したかを確認するために、類題に取り組ませることが多いと思いますが、この授業では「テキストふせん」を使って配布、記入、回収までを行っています。匿名での提出の選択肢を与えることで、解答に自信のない生徒や目立ちたくない生徒からの発信を促すICT教育ならではの工夫も行っています。
こちらのページでは活用法の動画や指導案などの詳細をご紹介しています。
【社会】のICT教育 授業事例
<対象:高校二年生 世界史B>
西ヨーロッパ世界の成熟をテーマに、キリスト教側から見た十字軍、そしてイスラーム教側から見た十字軍について学ぶ授業です。世界史は地政学的な要素や文化の違いなど、複合的な知識と見方が必要ですが、この授業ではClassPad.netのふせん機能を効果的に活用して総合的な要素をうまく説明しています。
デジタルノート活用で全体像も詳細もわかりやすく
授業の冒頭では、ふせん機能を活用して事前にまとめたデジタルノートを提示。授業の全体像が把握できるようになっています。その後、「本日の課題」や「用語」についてのふせんを大きく見せたり生徒に配布するなど、ICT教育ならではのスマートでわかりやすい授業を展開しています。課題と用語でふせんの色を使い分けているのもポイントです。
課題の作成〜配布〜回収まで、ClassPad.netで完結
ClassPad.netの授業支援機能を使って、課題をさっと作成、生徒の端末にぱっと送信することができます。この授業では、グループに分かれて資料を読解する協働学習の形式をとっていますが、解答の提出もClassPad.net内で行わせることにより、解答の板書を行う時間を短縮し、より生徒たちの「読解の時間」を多くとる工夫がされています。
各グループから提出された解答はクラス全体で比較・検討する時間も設けられていて、生徒が資料読解力を身につけられるようになっています。
暗記学習と思われがちな歴史ですが、ICTを活用した授業を行うことにより、暗記に終わらずに「考える授業」になっています。
配布や回収をClassPad.netで行えば、グループワークなど、主体的な時間をより充実させることができます。
こちらのページでは活用法の動画や指導案などの詳細をご紹介しています。
【情報】のICT教育 授業事例
<対象:高校一年生>
2022年4月より高等学校で必履修科目となった『情報』。この授業では、コンピュータを活用した問題解決力を培うことを目的に、MicrosoftがMS Officeの拡張機能として提供しているプログラミング言語『VBA』の基礎を学びます。
生徒から回収した解答の把握で、理解度に合わせた解説を
この授業では、プログラムを組む応用問題をクラス全員に出し、それぞれの解答をClassPad.netの授業支援機能を使って回収後、「誤った解答例」を紹介しながら、間違えやすいポイントを解説しています。
複数の生徒が同じ間違いをしていることがわかれば、このように、理解度に合わせた授業展開が可能になりますし、生徒からしても、単に間違えやすいポイントとして提示されるより、「実際に自分が間違えた/クラスの多くが間違えた」ポイントとして解説を受ける方が説得力は増すでしょう。
同時に正しい解答例も解説しています。間違った解答も含め、紹介は匿名ですが、自分の解答が正解例として紹介されることで、自信につながったり、教科を好きになったりする効果も期待できます。
こちらのページでは活用法の動画や指導案などの詳細をご紹介しています。
【音楽】のICT教育 授業事例
<対象:高校一年生>
音楽の授業でもICT教育は進んでいます。この授業はオペラについて理解を深めるためにモーツァルトの歌劇「魔笛」から、「パパゲーノとパパゲーナの二重唱」を取り上げ、オペラならではの特徴的な発声を練習する、という内容でClassPad.netを効果的に活用しています。
音源の配布で、生徒が自由に再生できる
従来の授業では、音源は教師がプレーヤーなどで流す形式でしたが、ClassPad.netを活用することで、「リンクふせん」としてYouTubeなどの映像や音源を配布することができます。生徒は自分のタイミングで、確認したい箇所を重点的に視聴したり、演奏の練習の際に必要なところを流したりと、自由に再生することができます。
「コツ」の情報もふせんで配布
音楽の演習では、上手に行うための「コツ」についての情報は、口頭で伝えるケースが多かったと思いますが、この授業では「ふせん」として配布し、生徒の発声練習の時に見返せるようにしています。
ClassPad.netには、2022年3月に「ふせんに音声データを登録できる機能」が新たに追加されました。ここでご紹介したオペラの演習のような授業では、生徒が発声を録音しておき練習に活かしたり、音声データを提出させ生徒へアドバイスをするといった可能性も広がることでしょう。
こちらのページでは活用法の動画や指導案などの詳細をご紹介しています。
学校関係者、自治体の皆様はClassPad.netの基本機能(デジタルノート、数学ツール「ClassPad Math」、授業支援機能)を無償でお使いいただくことが可能です。
まずはトライアルとして実際に授業で使っていただくことをお勧めします。
お申し込みはこちらから
【番外編】学びの可能性を広げるClassPad.netは課外活動にも
下記のデジタルノートは、カシオのClassPad.net担当者が作成したもので、世界各地を旅行した折に、写真やその土地の特徴、想い出などをまとめています。
自分が訪れた土地の文化、地政学的な情報など、興味を持ったことに対して深い探究心を持つこと、そしてそれを自分なりに整理してまとめ、他人に伝える資料とすること、この能力はまさに社会に出て求められる資質であり、「学び」の本質ではないでしょうか。
ICT教育、そして「調べる」「理解する」「まとめる・見返す」「伝える」の機能を備えたClassPad.netの活用がそれを実現すると信じています。
今回はClassPad.netを活用した具体的な授業についてご紹介しました。 ぜひ、これからのICTを活用した授業の参考にしていただけたら幸いです。
■著者・監修者
柿崎 明子
教育ライター。長期にわたり教育現場を取材。朝日新聞出版の週刊誌「AERA」、朝日新聞の教育サイト「EDUA」、東洋経済新報社の「週刊東洋経済」などに教育記事を多数執筆。
全国の中学校・高等学校で導入されている
ICT教育をサポートする、カシオの「ClassPad.net」
「ClassPad.net」とは、カシオが電子辞書や関数電卓で
長年培ってきたノウハウをいかし、
開発されたICT学習アプリです。
【主な特徴】
2.自由度の高いデジタルノート機能
辞書の検索結果や例文、Webページ・YouTube・Google マップのリンクなどを自由に貼り付けられるデジタルノート。調べてまとめることで思考力が身につきます。
画面は全て開発段階のため、最終仕様と異なる可能性がございます。