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アクティブラーニングの学習評価はどう行ったらいい? | ClassPad.net

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アクティブラーニングの学習評価は
どう行ったらいい?

アクティブラーニングの学習評価は どう行ったらいい?

「アクティブラーニング」は教育の新たな波として脚光を浴び、今では「主体的・対話的な深い学び」と言葉上変換され学校教育界に浸透していますが、教育の現場で日々奮闘する先生の中には、その評価方法についてお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。そこで本コラムでは、アクティブラーニングの評価について、具体的な手法を掘り下げてご紹介します。生徒の批判的思考、コミュニケーションスキル、協働的に活動をする力を養うための評価の役割を改めて捉え直し、多様な評価方法について探究しましょう。

※この記事では、文部科学省の掲げる「アクティブ・ラーニング」も含意しつつ「アクティブラーニング」と表記を統一しています。

アクティブラーニングとは

アクティブラーニングは、生徒が受動的な聞き手から能動的な参加者へと変化し、学習過程に積極的に関与する教育法・学習法のことです。このアプローチでは、生徒は討論、問題解決、プロジェクト作成などの活動を通じて知識を構築します。アクティブラーニングの重要性は、単に情報を記憶するのではなく、批判的思考、コミュニケーションスキル、協働的に活動をする力を養う点にあります。これらのスキルは現代社会で求められる21世紀型スキルと呼ばれているものそのものです。

アクティブラーニングとは

アクティブラーニングについてより詳しくはこちらの記事をご覧ください。

アクティブラーニングの評価の重要性

アクティブラーニングを実践する上で、「評価」は非常に重要な役割を果たしています。従来の試験やテストのような受動的な評価手法だけでは、生徒が授業中に積極的に示す参加意欲や深い理解、批判的思考を適切に把握することができません。これは、従来の評価手法が主に知識の記憶や再現に重点を置いているためで、アクティブラーニングが目指す「生徒の能動的な学び」を反映した評価方法とは言えません。

アクティブラーニングの評価は、生徒の能動的な学びのプロセスを可視化し支援するために多元的かつ形成的なアプローチを取る必要があります。多元的な評価とは、テストや試験だけでなく、ポートフォリオ、プロジェクト、グループディスカッションの参加、自己反省レポートなど、多様な手段を通じて生徒の成果を評価することを意味します。これにより、生徒の知識だけでなく、スキルや態度、価値観など、より幅広い学習成果を捉えることが可能になります。

アクティブラーニングの評価の重要性

また、数値化だけを目的としないことも重要です。学習過程の各段階で「何ができていて、何ができていないのか」について価値判断とは別に考え把握し、他者からのフィードバックを提供し、生徒が自分自身の学習を振り返り次の学習に活かすことを促す評価方法として「形成的評価」があります。このアプローチにより、生徒は目標達成のための具体的な改善点を把握し、学習プロセスを通じて自己調整能力を高めることができます。

従来の評価方法と比較して、このようなアクティブラーニングに適した評価アプローチは、生徒が自ら学習に関わり深い理解を追求するプロセスを促進します。また、教師にとっても生徒の学習プロセスをより深く理解し、個々の生徒に適した支援を行うための貴重な情報となります。このように、アクティブラーニングの評価は、単に学習の成果を測るだけでなく、学習プロセスそのものを豊かにし、生徒の能動的な学習を支援する重要な役割を担っています。

アクティブラーニングの評価方法

それでは、ここからは具体的にそれぞれの評価方法について考えていきましょう。

形成的評価の導入

最も重要なのは、形成的評価について理解することです。形成的評価とは、一言で表現すると、「学習プロセスの評価」のことを指します。一方、「学習のまとめの評価」を総括的評価と呼びます。

ここで理解しておく必要があるのは、学校現場ではシステムとしていまだ総括的評価は避けられないため、形成的評価を感覚的に捉えることが難しいという点です。形成的評価では、必ずしも成績をつける(数値化をする)ことが目的ではありません。誤解を恐れずに言うと、学習過程の各段階で「何ができていて、何ができていないのか」について把握するプロセスにおいて、すべてを数値化する必要はありません。

形成的評価の導入

より重要なのは、他者からのフィードバックを提供される場面を設けること、生徒が自分自身の学習を振り返り、次の学習に活かすことを促す場面を設けること、などです。すべてを数値化することを目的にしてしまうと、本来の学校教育の目的である「学び」が遠ざかってしまう可能性があります。形成的評価では、数値化にこだわらず生徒の活動のプロセスを「見取り」、気づいたことをメモに残したり、その場で伝えたり、問いかけたりすることが重要となります。生徒が抱える困難や課題も含めて良い・悪いだけで判断せず、形成的評価を用いて新たな学びを生み出していきましょう。

ピア評価の活用

ピア評価は、生徒同士がお互いの作業や貢献を評価し合う重要なプロセスで、アクティブラーニングにおいて特に重要な役割を果たします。この評価方法を通じて、生徒は他者からの視点を得ることができ、自己評価の精度を高めるとともに、批判的思考やコミュニケーションのスキルを向上させることが可能になります。ピア評価は、知識の単なる蓄積を超え、生徒が互いに学び合い成長する機会を提供します。

ピア評価の活用

具体的なピア評価の実施方法として、「相互レビュー活動」と「クリティカルフレンズ」を紹介します。

相互レビュー活動

相互レビュー活動では、生徒たちは互いの作業をレビューし合います。例えばプレゼンテーションをする場合、途中の段階で進捗状況をレビューし合います。このプロセスを通じて、生徒は自分の作業に対する客観的な視点を得ることができます。他にも、小論文やプロジェクトのレポートなどが課題の際、生徒はペアを組んでお互いの作品を交換し、それぞれが相手の作品に対して建設的なフィードバックを提供し合います。その後、自分の作品にフィードバックを反映させる時間を設けます。

クリティカルフレンズ

クリティカルフレンズは、生徒たちが小グループを形成しお互いの学習プロセスや成果を深く掘り下げて評価する方法です。この活動では、生徒は自分の作業や学習過程をグループに発表し、他のメンバーから質問やフィードバックを受け取ります。相互レビュー活動と比べ、クリティカルフレンズの目的は単に作品や課題を改善することだけでなく、生徒が自己反省を深め、学習プロセス自体を理解し改善することにあります。生徒が自分自身の学習に対してより深い理解を得ることを目指し、長期的な学習の進歩と自己成長に焦点を当てています。

こういったピア評価の活動を通して、生徒は批判的思考を養い、コミュニケーションスキルを向上させていくでしょう。また、生徒に自己反省の機会を提供し、同時に他者の視点を理解することで、より深い学びへと導くことができます。

セルフアセスメントとポートフォリオ評価

セルフアセスメントは、生徒が自身の学習プロセスや成果に対して自己評価を行うことで、自己内省のスキルを養い、自律的な生徒としての成長を促します。アクティブラーニングの文脈において、セルフアセスメントは非常に重要です。なぜなら、生徒が「能動的」に活動するということは、ただ与えられた課題を解くだけではなく、自らと向き合い問題を発見し課題を設定していくプロセスそのものだからです。アクティブラーニングにおける評価方法の中に「自己と向き合う」プロセスは不可欠なものであり、それがセルフアセスメントとなります。

セルフアセスメントとポートフォリオ評価

この自己評価の手法として特に効果的なのがポートフォリオ評価です。ポートフォリオ評価では、生徒は自らの手で作成した作品や学習活動の記録を集め、これらを通じて自己の学習過程を振り返り評価します。このプロセスにより、生徒は自分の強みや改善点を明確に認識し、個人の学習目標達成に向けて「能動的に」進んでいくことができます。

ポートフォリオには、レポート、プロジェクト、アート作品、プレゼンテーション資料、リフレクションシートなど、学習過程で生み出されたさまざまな成果物が含まれます。全体を通して学習のプロセスを評価する場合もあれば、こういった成果物の中から自分の学習成果を最もよく示すものを選び出し、なぜそれを選んだのか、どのような学びがあったのかを深く思考する機会も重要です。さらに、自分自身で設定した基準や学習目標に対して、どの程度達成できたのかを言語化することで、学習に対する深い洞察が求められ、学習プロセスを客観的に見つめ直すことができます。

ポートフォリオ評価の最大の利点は、生徒が自分の学習過程全体を通じて、自身の成長と変化を具体的に追跡できる点です。これにより、自己認識が向上し学習に対する主体性が強化できると考えられます。
セルフアセスメントとしてポートフォリオ評価を実施することで、生徒は自分の学習をより深く理解し、自己の成長を促進することができます。このプロセスにおいて、生徒が自分自身の学習に対して積極的かつ自律的に関与していくため、まさにアクティブラーニングにおいて強力なツールとなります。

パフォーマンス課題とルーブリック評価の使用

最後に、総括的評価において重要な視点としてパフォーマンス課題とルーブリック評価について紹介します。

パフォーマンス課題は、生徒が実際に知識やスキルを適用し、具体的な成果物やパフォーマンスを作り出す活動です。この種の課題は、生徒の理解度や学習過程で習得した能力を実践的な形で表現し、評価するために設計されます。パフォーマンス課題の目的は、単に知識を記憶するのではなく、その知識を実世界の状況や問題解決に応用できるかを確認することにあります。

パフォーマンス課題とルーブリック評価の使用

具体例としては、理科の授業での実験レポート、社会科でのディベート、芸術科目での作品制作や技術科でのプロダクトデザイン、外国語の授業でのロールプレイや会話演習などが挙げられます。たとえば、理科の授業では、生徒が実際に実験を計画し、実施してその結果を分析しレポートを作成することが求められることがあります。社会科のディベートでは、特定の社会問題についての立場を取り、論理的に自分の意見を述べ、相手の意見に反論する能力が評価されます。

パフォーマンス課題の評価にルーブリックを使用することで、生徒は課題に対する具体的な期待値を事前に把握でき、どのように準備し取り組むべきかを計画することができます。また、教師はルーブリックを通じて、生徒のパフォーマンスを公正かつ一貫性を持って評価することが可能になり、具体的で建設的なフィードバックを提供することができます。

そもそも評価とはなにか?

ここまで、アクティブラーニングにおける評価について考えてきました。最後に、そもそも学校教育の活動における「評価」について改めて考えてみましょう。学校教育の現場では、多くの場合「評価」と「評定」が混同されているように感じますが、改めて強調したいのは、ここまでみてきたように「評価」とは、必ずしも数値化を伴うものではないということです。

そもそも評価とはなにか?

評価は、生徒がどのように学び、どのような進歩を遂げているかを理解し、次の学びに反映するためのプロセスです。これには、生徒の強み、弱み、興味、学習スタイルなど、多面的な要素が含まれます。評価の目的は、単に生徒の学習成果を測ることだけではなく、学習過程をサポートすることと教師の関わり方を改善することにあります。これに対して「評定」とは、学習成果を数値や記号で表現し、生徒のパフォーマンスを成績づける行為です。評定は評価の一部分であり、評価の結果を表す手段の一つですが評価自体の全貌を示すものではありません。

教育における評価には、大きく分けて三つの視点が存在します。
これらは、
● assessment of learning(学びの評価)
● assessment for learning(学びのための評価)
● assessment as learning(学びとしての評価)

と呼ばれます。assessment of learningは、学習が終了した後に行われる評価であり、生徒が設定された学習目標をどの程度達成したかを測定します。これは伝統的な「評定」に近い概念です。

一方、assessment for learningは学習プロセス中に行われ、生徒が自らの学習を調整し、向上させるためのフィードバックを提供します。assessment as learningは、生徒自身が自己評価を行い、自らの学習プロセスを意識的に制御することを指します。このプロセスでは、生徒は自己の学習者としての役割をより深く理解し、自律的な学習者へと成長していきます。forやasの概念こそ、これまで考えてきた形成的評価に該当する考えだと言えるでしょう。

最終的に、評価は生徒に還元されるものであり、生徒が自己の学習を振り返り、次の学習へとつなげるための貴重な情報源となります。教育者は、評価を通じて生徒が自らの学びを深め、育んでいくためのサポートを提供する重要な役割を担っています。

まとめ

アクティブラーニングは、学生を受動的聞き手から能動的参加者へと変え、討論やプロジェクトを通じて学びます。このプロセスでは、批判的思考や協働スキルなど21世紀に必要な能力を育成します。評価はこの学習方法の成功に不可欠で、従来のテストだけではなく、形成的評価やピア評価、セルフアセスメントなどを組み合わせることが重要です。これにより、生徒の多様な成果を公正に捉え学習過程をサポートします。評価は、知識の単なる測定ではなく、学習過程そのものを豊かにし、学生の自律的な学びを促進するための手段なのです。

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著者・監修者 芹澤 和彦

■著者・監修者
芹澤 和彦
高校英語教員/教育クリエイター

講演、企業研修、教員研修、イベント運営を多数実施。英語教育ではEF Excellent Award in Language Teaching 2019 Japan Finalist 第2位の表彰、アントレプレナーシップ教育ではNPO法人BizWorld Japan アドバイザー、ICT教育では2019~2022 Microsoft Innovative Educator Expertの認定を受けるなど、ジャンルを越えて教育実践を展開している。探究やクリエイティブ・ラーニング型授業の実践家である一方で、教員をしながら個人事業として起業。学校と社会の繋がりをつくる多様な活動をしている。
著書『中学校・高等学校 4技能5領域の英語言語活動アイデア』(明治図書)。

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